今日、ロンドンから待望のキャディスプーンが届きました。先ずは写真をとくとご覧下さい。ボウル全体に鷲の翼があしらわれ、柄は精悍な鷲頭の形をしています。
1815年にジョセフ・ウィルモアとマシュー・リンウッドという名の2つのシルバースミスが手掛けたのが鷲の翼型キャディスプーン(Eagle Wing Caddy Spoon)の嚆矢と云われています。『英国アンティークシルバーキャディスプーン100選』に依れば、この形のスプーンは蒐集家にとって特別の存在で最も畏敬の念をもたれている珍しい作品だそうです。鷲は英国貴族のクレストに使われることもあり、権威や権力の象徴でもあります。
デザインには特許があって2種類の鋳型は厳格に管理されていたようです。そんな歴史的背景も手伝ってか、鷲の翼型キャディスプーンは現在もキャディスプーン蒐集家協会のエンブレムに使用されています。
19世紀初頭に製作されたオリジナルは非常に珍しいもので、クリスティーズのオークションに出品されたこともあります。従って、今回入手した代物(24g・7.6cm)は1977年に20世紀を代表するシルバースミスC.J.Vanderが製作したレプリカです。マシュー・リンウッドのデザインと酷似しています。
後世、ジョージ・ユナイトやトーマス・ブラッドリーもレプリカを製作しているようですが、元々の鋳型を借りて製作されたものか、鋳型から作りなおしたものかは定かではありません。そのレプリカでさえなかなかお目にかかれないので、しばらく眺めては悦に入ることにします。