大人も楽しめるスヌーピーミュージアム@南町田グランベリーパーク

六本木にあったスヌーピーミュージアムは、2018年9月に惜しまれつつ閉館しました。わずか2年半の期間限定営業でした。翌2019年12月、新しいスヌーピーミュージアムが町田市と東急による再開発エリア「南町田グランベリーパーク」内に誕生します。スペースは、従来の2倍で再開発エリアの目玉のひとつです。元々アウトレットがあった場所だそうですが、エリア全体が美しく整備されていて驚きました。スヌーピーミュージアムの西側に広がる鶴間公園には、スヌーピーのオブジェが設置されています。


初めて、町田市街を訪れました。町田市民に失礼を承知で申し上げるなら、いまだに<町田市は神奈川県の一部>という思い込みから抜け出せないでいます。そんな既成概念に囚われた理由が2つあります。ひとつは地理的事情です。東京都と神奈川県の境界を地図で確認してみると、つま先で突っつくが如、町田市が神奈川県北端から深く侵食していることが分かります。結果、町田市は東西で神奈川県と隣接することになり、神奈川県にまるでサンドウィッチにされたように見えるのです。2つめは地名から来る刷り込みです。東名高速の下り線で必ずと言っていいほど渋滞に巻き込まれるのが、横浜青葉~横浜町田間です。出口渋滞が延々と続く横浜町田ICという名称が紛らわしいのです。

日本にスヌーピーミュージアムが誕生した背景に、ソニー・ミュージックエンタテインメントSME)の存在があります。SMEは、Peanuts Holdings LLCの有力出資者(約39%)だからです。現地で受け取ったパンフレットによると、ミュージアムだけでなく、ホテル(神戸)やカフェ(中目黒・原宿・名古屋・大坂・神戸・博多)も運営しています。関連グッズの総売上げに占める日本のシェアは4割と言われますから、日本におけるスヌーピー人気は絶大です。1950年から連載が開始されたコミックの名前は、『PEANUTS』(ピーナッツ)。主人公はスヌーピーの飼い主チャーリー・ブラウンであるにもかかわらず、日本では、スヌーピーが主役かつコミックタイトルだと誤解している読者がまだ多くいるように感じます。

スヌーピーが大きく開けた口から入場して1階エントランスで受付を済ませると、来場記念に「スペシャルコミックチケット」が手渡されます。チケットの片面には、作者チャールズ・シュルツ氏の描く17000余の作品から入場日に発表された作品が印刷されています。

1階からエレベーターで3階に上がると、スヌーピーとその仲間のぬいぐるみで溢れる「スヌーピー・ワンダールーム」が出迎えてくれます。先へ進むと、創作の歴史や作者のプライベートを紹介する「チャールズ・シュルツ・ギャラリー」、複製原画を展示する「ピーナッツ・ギャング・ギャラリー」とわくわくさせてくれる展示室が続きます。極めつけは、ビッグサイズのスヌーピーが集結する「スヌーピー・ルーム」です。寝そべったメガサイズのスヌーピーミュージアム一番のフォトスポットです。映像と音楽を融合した短いショーもあって、立ち去り難い空間です。

数ある展示作品のなかから、とっておきの作品をご紹介しておきます。膝の上にスヌーピーを抱いたチャーリーが、大樹を背に気持ち良さそうに寛いでいるワンシーンを描いたものです。ありふれた日常のなかに、この上なく満ち足りた瞬間を見つけた歓びが溢れています。コミック『PEANUTS』は、連載開始から四半世紀近く経ったというのに、世界中の読者を魅了し続けてやみません。その普遍的な魅力は、何気ない暮らしの中から見過ごしてしまいそうな瞬間を掬い上げて、喜怒哀楽の大切さをそっと教えてくれる点にあるのです。

吹き出しの私訳>

チャーリー:<これ以上、何か望むことがあるのだろうか?暖かい日差しを顔に浴びて、膝には(愛)犬がいる。申し分のない満足感じゃないか>
スヌーピー:<彼にはこんな一面があるのさ>