Netflixオリジナルドラマ「地面師たち」の完成度が高い理由に至極納得

最近、週刊誌や月刊誌で睡眠特集の見出しをよく目にするようになりました。睡眠は最高のアンチエイジングだそうです。裏を返せば、睡眠不足に悩む人がいかに多いかということです。かくいう自分も睡眠不足に悩むひとりです。一説には、日本人の睡眠不足による経済損失は15兆円に達するのだとか。

寝室にタブレット端末を持ち込んでついつい観てしまう映画やドラマが睡眠不足の大きな原因です。定番のNetflixAmazon Prime Videoに加え、WOWOWも契約しているので、時間がいくらあっても足らないくらいです。CMがないため集中して鑑賞できるのがオンデマンド視聴の最大の利点です。

全7話のNetflixオリジナルドラマ「地面師たち」の出来栄えは、もはや昨今の民放のテレビドラマと比較にならない水準です。夜が明けるまで一気に視聴してしまいました。上場大手ハウスメーカーに100億円を超える大掛かりな詐欺を仕掛ける地面師軍団の顔ぶれは、超豪華です。ダブル主演はリーダー役の豊川悦司綾野剛、脇を固めるのは、ピエール瀧(復帰されたのですね)、北村一輝染谷将太小池栄子リリー・フランキーと誰もが知るような主役を張れる人気俳優さんたちです。それもそのはず、Netflixの1時間作品の製作費はプライムタイムの民放ドラマの約5倍(10倍という説もあります)、金額にして1億円を軽く突破しているのだそうです。こうなると、先細りのCM収入に依存する民放の製作費では太刀打ちできるはずもありません。当然、キャストに支払われるギャラも高額ですから、人気俳優さんのテレビドラマ離れはますます加速するのではないでしょうか。俳優さんだけでなく、テレビ業界から離れる脚本家やプロデューサーが増えています。Netflixと5年契約を締結した人気脚本家の坂元裕二もそのひとりです。

動画配信の普及によって、粗製乱造の安っぽいテレビドラマが駆逐され、スポンサーに忖度せず良質なオリジナルドラマが放送されるのは大歓迎です。それにしても、実際に起きた積水ハウス地面師詐欺事件(2017年)を下敷きに、これほど完成度の高いドラマに仕上げたNetflix製作チームの手腕に唯々脱帽です。<事実は小説より奇なり>と申しますが、「地面師たち」に限っては、エンタメ性において、明らかに創作が事実を凌いでいます。