生まれ変わったシモキタを歩く

小田急小田原線の連続立体交差と複々線化事業に伴い、住宅密集地の世田谷代田―下北沢―東北沢の3駅間の約1.7km区間が地下化され、再開発された線路跡地が公開されたのは昨年5月下旬。

再開発以前の下北沢(以下:シモキタ)のイメージは雑然としていて落ち着かない街。シモキタで京王・井の頭線小田急小田原線が交差しているせいで、東西南北で街全体が分断された印象を抱いたものです。

今回、吉祥寺駅で京王・井の頭線に乗車してシモキタを目指しました。京王線下北沢駅で下車し進行方向の中央口から小田急線・下北沢駅へと移動しました。駅舎内に「シモキタエキウエ」と命名された複合商業施設が展開し、スタバやタイ料理屋が大層賑わっていました。

南西口には「NANSEI PLUS(ナンセイプラス)」と呼ばれる商業施設があります。一番感心したのは、その先の元線路だった敷地跡に拡がる緑豊かな街路です。グリーンベルトとベージュの砂利舗装道が実に心地よい景観を作り出しています。家族連れが散策を楽しめるようにとの配慮からか、道は単調な直線路ではなくRが入っていて、子供が遊べるようなスペースが所々に設けられています。汗ばむような陽気の下、隣駅・世田谷代田駅に向かってさらに歩を進めると、「BONUS TRACK(ボーナストラック)」が現れます。新スタイルの商店街でカフェやコワーキングスペースなどが混在しているユニークな空間です。

なかでも、内沼晋太郎さんが経営する「本屋B&B」に惹かれました。最近はAmazonで本を注文する機会が増えていますが、実店舗「本屋B&B」は、それとなく回遊しながら本を探す楽しみを再発見させてくれる居心地のいい場所でした。内沼さんは自著のなかで「本屋に行くことは一番身近な世界一周旅行」だと語っています。そのとおりだと思います。シモキタを訪れたら真っ先に立ち寄りたいスポットです。

世田谷代田へ向かう道すがら、保育園や温泉旅館が目に入りました。「SHIMOKITA COLLEGE」と呼ばれる移住型教育施設もありました。その裾野は飲食店に偏りがちな街づくりとは一線を画したものです。

世田谷代田駅構内のカフェでひと休み。キンキンに冷えた瓶のハートランドをラッパ飲みするのは久しぶりのことです。「本屋B&B」=BOOKS&BEERでビール片手に読書するのも楽しそうです。秋が深まった頃、ぶらりシモキタ散歩に出掛けるつもりです。