バイデン大統領就任演説から知る驚愕の事実〜米国のコロナ感染死者数〜

バイデン氏が20日に第46代合衆国大統領に就任しました。翌朝朝日新聞に掲載された就任演説全文を読んで、ひとつ驚いたことがありました。気になった箇所は次のとおりです。

“A once-in-a-century virus silently stalks the country. it’s taken as many lives in one year as America lost in all of World War II."

100年に一度のウイルスが静かに国にはびこり、第二次世界大戦で失ったのと同じだけの米国人の命を、1年間で奪ったのです。

真珠湾奇襲に始まった対米戦争による日本人死者数に、それ以前に勃発し8年に及んだ泥沼の日中戦争や日ソ戦による死者数を加えると、310万人を超えると云われています。故半藤一利氏のベストセラー『昭和史(1926-1945)』のむすびの章のタイトルは、<三百十万の死者が語りかけてくるものは?>でした。

第二次世界大戦における戦勝国アメリカの死者数が29万1557人。バイデン新大統領は、新型コロナウイルスの犠牲者がわずか1年間でこの数字を優に超える危機的状況に大いなる憂慮を表明しているわけです。足元、すでにアメリカ人の死者数は40万人を超えています。

1日の死者数が、多い日には3000人を超えていることについて、米国メディアは「2001年9月11日の同時多発テロ真珠湾攻撃における死者数とほとんど同じ数のアメリカ人が、毎日この感染症によって亡くなっている」と報じているそうです。

先の戦争による日本人死者数は米国の10倍強、大統領の就任演説によって、日本人が大戦中いかに虚しく死地へと追いやられていったかを再認識させられた次第です。広島、長崎への米軍による原爆投下で失わ れた命は、それぞれ14万人に7万4千人と云われています。しかも、それは一瞬の大惨事でした。

バイデン新大統領の就任演説にからは、南北戦争大恐慌、世界大戦、9.11同時多発テロ等々、過去の戦争や悲劇を振り返り、これにどう打ち勝ち克服してきたのか歴史に学ぼうとする謙虚な姿勢が窺えます。コロナ禍さえ政争の具にしかねないときの首相や都知事の記者会見を見るにつけ、彼我の差に愕然とさせられます。