フランス人のお昼休みと食文化

モン・サン・ミッhシェルの島内にある郵便局から試しに絵葉書を自宅宛て送ったところ、5日で届きました。メール浸透ですっかり手紙文化が廃れてしまいましたが、旅先から現地の消印のある絵葉書が届いた瞬間の温もりは格別だとは思いませんか。絵葉書はどこの観光地でも売られていますが、文字が綴られ投函されると別物になりますね。旅先から絵葉書下さる方歓迎です。

モン・サン・ミッシェルの対岸で1泊したのでその日は2回目の修道院見学。見学後、再び郵便局前を通りかかったところ、入口は閉まっていて12:00〜14:00は休業中という看板が掛けてありました。労働法で2時間の昼食休憩が認められているからでしょう。フランスの田舎に行くと、今でも、子供たちが学校から自宅に戻って昼食をとる習慣が残っているようです。以前、パリ出張時に「美味しい牡蠣を食わせる店があるから」とフランス人の同僚が近くの洒落たレストランに連れ出してくれたとき、メインに1時間半、デザートに30分余りとたっぷり昼食を楽しんだことを思い出しました。優雅なランチタイムに想いを馳せているうちに、帰りのバスに乗り込む時間が迫ってきました。

復路の現地ガイドはTTさんと名乗るフランス在住14年の教員生活の長い方でした。車中で面白い蘊蓄話をご披露下さったお蔭で、4時間30分余りのバス移動も退屈せずに済みました。くだんのTTさん、英語を学び始めたばかりの頃、supperとdinnerの違いが知りたくて、テストで使い分けをして採点を待ったそうです。結果はいずれも正解、これには相当失望したそうです。

西洋諸国がおしなべてそうであったように、フランスも19世紀初頭までは2食文化で昼と夜しかなかったそうです。今でも2食文化圏は少なくありませんが、1日の食事のなかであくまで昼がメイン、古フランス語ではdisner(デジュネ)ということになります。disner は、desjeuner のような形を縮めてできたと考えられますが、des[dis] は「反対の動作」「やめる」の意味を表し、jeuner の部分は「断食をする=fast」という意味なのだそうです。

エリート支配階層は1日2食が基本、被支配階層の民衆になかには3〜4食摂る習慣があったのだとか。そんな歴史的な背景から、現在、フランス語で朝食はプチ・デジュネ、昼食はデジュネ、夕食はディネ、夜食がスーペとなっています。目から鱗でした。