「日刊闇株新聞」が面白い

週刊朝日2/10号が<消費増税にダマされるな>と銘打って政府・財務省主導の増税キャンペーン徹底追及の特集を組んでいます。欧州ソブリン危機の真っ只中、財務官僚が「日本はギリシャよりひどい」と国家破綻を連想させるような大見栄を切るわけですから、世論が増税止むなしに傾くのは致し方ないのかも知れません。しかし、騙されてはいけません。特集記事が示唆するように、財政再建にあたっては増税以外の有効な選択肢(特に国会議員も含む公務員数の削減)があるのですから、納税者負担を強いるのであれば少なくとも複数の選択肢のパッケージであるべきです。

注目したいのは、先の特集記事のクレジットに「日刊闇株新聞」が加わっていることです。以前から秘かに記事を愛読していたのですが、大手メディアが取り上げたことでアンテナの高さと精度が確認されて少々溜飲を下げております。

破綻したリーマンの欧州・アジア部門買収後も業績低迷を続ける野村證券、その野村證券買収を虎視眈々と狙う三菱UFJホールディングス、オリンパス損失隠し経産省元審議官によるインサイダー取引など、金融ネタを紐解かせたら一流経済雑誌も顔負けです。特に、経済事件ネタの分析は実に面白いのです。オリンパス損失隠し事件をめぐって執拗に筆をとる理由が次のように記されています。、

【本誌がオリンパスについて書くのは、経済事件というものが「当局」によって「どのように選ばれ」「どのように社会的意義を持たされ」「どのように裁かれていくのか」、そしてその過程で「マスコミがどのような役目を果たすのか」「背後にどういう官僚の思惑があるのか」などをリアルタイムでお知らせするのに絶好の機会だと思ったからです】

筆者は匿名希望のようですが、N証券を退社後外資系証券会社を渡り歩き辣腕を奮ったS氏で間違いなさそうです。過去数度、お目にかかったことがありますが、当時の風貌や語り口と明晰な文章がどうしても結びつきません。人を見かけで判断してはいけませんね。

S氏の経歴を知るだけに、今後も省庁間の権益争いや検察が狙う国策捜査などに関する分析が楽しみです。