旬の上海蟹



昨夜は喜寿のお祝いというお目出度い席(三田・中国飯店)に招かれて、今が旬の上海蟹のご相伴に預りました。高級食材として知られる松葉蟹や毛蟹に比べてどちらかと云えば地味な印象の上海蟹、食べてみて吃驚、とても美味しくて舌鼓を打ちました。雌蟹も美味しいには違いありませんが、11月になると雄蟹の「膏」と呼ばれる白い精子の部分が成熟して食べ頃を迎えるそうです。白酒を絡めた一皿目の「酔っ払い蟹」、北京ダックと続いて、雌雄それぞれの甲羅に味噌を盛ったメインディッシュが運ばれてきて、雌雄の違いを舌で確かめることが出来ました。淡泊ながら食感が愉しめる雌に対して、雄の方は味蕾にまとわりつくようなねっとりとして濃厚な味わいが持ち味です。お皿に添えてある黒酢はからめないで素の儘味わった方がいいように思いました。旬を迎えた小振りの上海蟹は国産の高級蟹に決して引けをとらないと断言しておきます。講釈しないで国産蟹だけではなく上海蟹もマッドクラブも試してみるのがいいようです。

蟹は身体を冷やすというので食間には生姜の効いた紹興酒が供されます。あっさり炒めた豆苗も口直しにぴったりでした。最後はデザートを食べながら揚琴と二胡の協演に耳を傾けました。贅沢なひとときのお蔭で旬の上海蟹の真価が分かったので来年も賞味しようと思います。