リーデルのテイスティングセミナー@新宿タカシマヤ

昨夜、新宿タカシマヤで開催されたリーデルテイスティングセミナー(1時間)に参加したところ、ソムリエ主催のテイスティングセミナーと違って、メーカーならではの視点も手伝って、結構楽しめました。定員は10名、外商さんが早めに教えてくれたお陰でなんとか滑り込めました。

新宿タカシマヤの10階に新設されたキッチンスタジオが会場。物販にこだわらず、こうしたイベントを通じて消費者動向や嗜好を探るというのは、厳しい競争環境におかれた百貨店が、ジリ貧状態を打開するための有効なサバイバル戦略のひとつではないでしょうか。

スピーカーはリーデルの日本法人担当者。キッチンカウンターには4つの異なるグラスとプラコップが置かれています。左から、リースリング/ジンファンデル、樽詰シャルドネピノ・ノワールカベルネメルローというぶどう品種由来のグラスに注がれたワインをテイスティングする寸法です。

我が家もそうですが、重ねられないワイングラスはカップボードの収容能力とご相談。特に、横に膨らんだピノ・ノワールシャルドネ用のグラスはかさばります。従って、常備するなら、主力はカベルネソービ二ョン用の細長いタイプということになります。

いざ、ブルゴーニュシャルドネを対応するグラスで試すと、アロマやブーケを最高の状態で感じることができます。リーデルが、ブルゴーニュの生産者を皮切りにボルドーなど他地域の生産者の声を反映したグラス作りを始めて、60年余が経つそうです。世界的ワイングラスメーカーとしての揺るぎなき地位は、1973年にリリースされたハンドメイドのソムリエシリーズが嚆矢、歴史は思ったより短いのですね。以前は、広くガラス製品を扱う業者だったそうです。

プラコップに移し替えて、シャルドネテイスティングしてみると、香らないだけではなく、肝心のワインの風味も単調でまるでジュースを飲まされているような感覚です。こうして、違った容器を試してみて初めて際立った違いを再認識させられました。ワインの個性を最大限に引き出すべくグラスの形状を変えるという発想は、リーデルの専売特許、ブレークスルーだったわけです。まさにワイングラスのイノベーションです。

ソムリエ主催のテイスティングセミナーのように、極上のワインが供されたわけではありませんが、むしろ、1000円〜3000円前後の普段使いのワインにこそ、その品種にふさわしいグラスが供されるべきなのです。無論、高級ワインなれば、その品格にふさわしいグラスで飲むこと、それが礼儀ですね。

眼から鱗だったのは、グラスに注がれるワインの量は、グラスの最も膨らんだ部分より指一本くらい下にすべきだということ。通常、レストランで供されるグラスワインはボトルの6分の1(125ml)が目安、グラスの大きさや形状によっては膨らみを超えてしまう場合もありえます。ワインの場合、注がれていない空間がワイン個性を最大限に引き出すポイントだということを再認識させられました。グラスになみなみと注ぐなぞ、以ての外というわけです。それから、スワリングはゴシゴシやるべし。自宅ではデキャンティングポワラーを使うので少々スワリングは遠慮していましたが、空気に触れさせてワインを素早く開かせるためには、やはりスワリングも欠かせませんね。

高級ワインのテイスティングでもないのに、セミナー参加費用は14040円でした。セミナー終了後のお土産にと、テイスティングで使用したグラス4種(リーデル・ヴェリタス テイスティングセット)(2014年発売)にデキャンタがついてきました。これで納得どころか大満足でした。リーデルのスピーカーの軽妙洒脱なデモンストレーションのお陰であっという間に1時間が過ぎて、ほろ酔い加減で帰宅しました。次回はスパークリングワインのテイスティングセミナーをお願いしたいと担当者にはお伝えしておきました。