「新華月」閉店を惜しむ

かれこれ20年近く通った中華料理屋さんの「新華月」が3月末日で閉店していることを数日前に知りました。靖国通りに面した雑居ビルの2階にお店を構える「新華月」は深夜まで営業なさっていたので、欧州時間に寄り添うように残業に明け暮れた90年代後半は決まって零時過ぎに到着し遅い夕食にありついたものでした。

冷えたビールで後輩達と乾杯した後、回鍋肉や木須肉がメインのセットメニューを注文するのがお気に入りのコース、それ以外は餃子か春巻しか食べた記憶がありません。「新華月」の味付けは濃い目の本格派ながら値段は至ってリーズナブル、お蔭で通い続けることが出来ました。すっかり尾羽打ち枯らした残業後の自分たちを不憫と思われたのか、アイス珈琲や中華饅頭も必ずサービスして頂きました。いつしかご主人とは気のおけない仲になり、政治、ゴルフ、不動産投資、金融等々様々な話題で盛り上がったのが忘れられない思い出になりました。連れて行った後輩諸氏もご主人から会社では到底学べないような経験談や処世術を伝授してもらった筈です。

靖国通りを眼下に臨む窓際でぼんやりと賑やかな歌舞伎町のネオンや看板を眺めるのが、その日の癒しタイムだったように思います。「新華月」さん、本当に長い間お世話になりました。またいつの日か新宿で営業を再開されることがあれば真っ先に駆けつけます。