冬を彩る臘梅と啓翁桜

この季節、近所の玉川上水縁の広葉樹がすっかり落葉して、対岸まで見通せてしまいます。何とも殺風景で味気ないものです。ソメイヨシノが咲くまで今しばらくの辛抱です。

先週末、見頃を迎えた宝登山(埼玉県秩父郡長瀞町)の臘梅園(注)を訪れました。3月下旬の陽気のせいか、人出は予想以上でした、山麓宝登山神社左手奥の登山口からスタートすれば、小1時間で山頂(標高497m)にたどりつけます。登山道はよく整備されていて難所もありませんので、お子さんを連れも目につきました。山頂の花壇で開花した福寿草を見つけました。

登りきった処にある茶屋でひと息入れると、例年なら、甘い臘梅の香りが漂ってくるはずなのにそうはなりません。マスクをしていることをすっかり忘れていました。アウトドアですから感染の心配はなさそうですが、皆さん、マスクを着用したままです。早春を告げる黄色い花弁を遠くから愛でるだけでなく、香りを愉しんでこその臘梅です。香りの強い満月臘梅に顔を近づければ、芳香が鼻腔をくすぐります。

宝登山は、低山ながら眺望に優れていて、眼下には秩父の町並みが拡がり、遠方には秩父のシンボル武甲山や鋸状の山容をした百名山両神山(りょうかみさん)が望めます。都内から車で1時間半前後で行けるというアクセスの良さもあって、毎年この時期、訪れたいスポットなのです。

臘梅と同様、冬に花を咲かせる啓翁桜を信楽の瓶子に活けたところ、一週間ほどで満開になりました。古くからある品種ではなく、1930年に福岡県久留米市の吉永啓太郎氏によって作られた桜だと最近になって知りました。

冬を彩る臘梅と啓翁桜に癒されながら、春の訪れを待ちわびているところです。

(注)宝登山ロウバイは蝋梅ではなく臘梅という漢字を当てています。