ワンピース(スーパー歌舞伎II)再び〜開演直後にアクシデント!〜


2015年のワンピース初演からわずか2年でワンピースが再び新橋演舞場に戻ってくるとは思いませんでした。文化の日の昨夜、スーパー歌舞伎IIワンピースと再会を果たしました。

座長を務める市川猿之助がセリに衣裳を巻き込まれ左腕を骨折したのは、公演が始まって4日目の10/9のことでした。自分も含めて猿之助ルフィとの再会を楽しみにしていた観客はさぞや落胆したことでしょう。公演中止を心配された向きもあるのかも知れません。

松竹は直ちに代役に尾上右近を起用、何事もなかったかのように翌日からスケジュールどおり公演は続けられています。オペラなどにも付き物のこうした不測のアクシデントに舞台関係者は常に備えているものなのですね。特別マチネ「麦わらの挑戦」で右近さんをルフィ役に抜擢していたのが幸いした格好です。ある意味、猿之助さんの慧眼の賜物です。

昨夜も開演早々、セリ(昇降機)のトラブルで天竜人が登場できず突如中断。役者には怪我もなかったようで、10分後に頭からやり直しと相成りました。一番胸をなで下ろしたのは裏方さんだったに違いありません。

急遽、代役を務めた右近さんの舞台は最高でした。弱冠25歳ながら、妖艶なハンコックを見事に演じてくれました。ルフィ役も若いが故に原作の世界観に近づいたと感じた観客も多かったはずです。円熟の芸を披露する猿之助とはひと味違った舞台を作り上げてくれたように思います。2015年公演も観たリピーターには、まさに怪我の功名でした。右近さんのお父様は清元宗家、ルフィ役の好演で今後の歌舞伎役者としての活躍にも注目です。


ワンピースI・IIを通じて一番印象に残った役者は坂東巳之助さんでした。登場するやひときわ大きな拍手が沸き起こりました。ルフィが、兄エースを救うために潜入した大監獄「インペルダウン」で再会するオカマのボン・クレー役は、これ以上ないというはまり役。外見だけではなく、しゃがれた声色の絶叫や原作キャラクターのディテールまで見事に再現してくれました。最優秀助演男優賞確定です。

2幕目最後の宙乗りの場面では、観客席に役者がなだれ込み、スーパータンバリンの交換が行われたり握手をしたりと舞台は最高潮に。あっという間の4時間でした。