新年の和菓子〜花びら餅〜

去年の晦日、花びら餅を買いに東急吉祥寺店へ行ったところ、早々に完売の札が掲げられているではありませんか。元日、初詣を終えて帰宅したところで花びら餅を頂くというのが我が家の習わしだけに、少々吃驚。大晦日に再入荷したので入手こそできましたが、京菓子というイメージの強い花びら餅が東京でも人気のあることを再認識させられた格好です。以前は京都以外では入手困難なお品でしたが、最近はこうした季節限定の銘菓も身近なものになったというわけです。


ただ、どの和菓子屋さんでも取り扱っているわけではありません。大津市の叶匠寿庵も都内で販売していますが、我が家では1箱5客入りの鶴屋吉信製花びら餅「御所鏡」を買い求めることにしています。お品書きには、長寿を祈る新年の宮中行事「歯固めの儀」に因んだお菓子だと書かれています。

やわらかい求肥白味噌あん仕立て、上の写真のように半月型で牛蒡(ごぼう)が挟んである点が特徴です。宮中行事の「歯固めの儀」で供された鏡餅に押し鮎と大根を添えた御所鏡が、時を経て簡略化され、牛蒡を押し鮎に、白味噌仕立てのお餅を雑煮に見立てたことに由来するようです。明治になって裏千家十一代家元玄々斎が初釜で使うことを許されたそうです。

とても上品な和菓子で、おめでたいお正月を雅な雰囲気にさせてくれます。