神宮の花火大会



二十数年ぶりに神宮の花火大会に行ってきました。JR千駄ヶ谷駅から徒歩数分のご自宅マンション屋上ルーフバルコニーでBBQパーティーを企画してくれたホスト役のYさんご夫妻、お招きありがとうございました。お蔭様で特等席から花火大会を堪能することが出来ました。17時集合は早すぎるかなと思ってお邪魔したのですが、ワイン片手に新宿御苑の豊かな緑の彼方の西穹がたそがれていく束の間のマジックアワーまで愉しめるなんて・・・本当に心にくい演出でした。

震災の影響で今年は花火大会が相次いで中止されるなか、神宮の花火大会は決行で良かったのではないかと思います。会場周辺に集まる家族連れや浴衣姿のカップルの表情がそれを物語っていました。震災後、街が灯りを落としたためにマンション屋上から眺める夜景はどこか物寂しげに映りましたが、却って花火の美しさが際立つことなったようです。節電に迫られ隅々まで明るく周囲を照らす照明が抑えられた結果、陰翳がもたらす効果に気づかされたというわけです。谷崎潤一郎は『陰翳礼讃』のなかで数寄屋造りの日本住宅に引き入れられた光線がへこみのここかしこに朦朧たる隈を生み出すと表現していますが、都会にあっても月明かりや星明かりを愛でるための暗さをもう少し大切にしてもいいのかも知れません。もうすぐ盂蘭盆会、今年の迎え火はいつもよりも優しく街を包み照らしてくれることでしょう。