鬼門に南天

外構工事も一段落したので、昨日、表鬼門に南天を植えました。南天は「難を転じる」に通じる縁起のいい木で、福寿草と組み合わせれば「難を転じて福をなす」というお正月飾りに欠かせないアイテムになります。お赤飯に南天の葉をあしらってもいいでしょう。梅雨時には白い花を咲かせ、冬場は紅の実が目を楽しませくれそうです。鬼門の南天や柊にこだわる自分はつくづく日本人だなと感じます。

実は枝ぶりのいい南天を探すのに難儀しました。近所のJAも含め数か所を梯子してようやくお目当ての苗木を手に入れることが出来ました。地面に植わっている南天をスコップで掘り起こしてレジまで運び、会計を済ませて自家用車に積んで持ち帰ったというわけです。成木に比べて一般に2メートル未満の苗木はお手頃な価格で入手できます。植栽の醍醐味は手塩にかけて育てる樹木のこれからと云ったところでしょうか。右の写真が鬼門の南天、左は坪庭の端に植えた小振りの南天です。数年後はどんな姿形になっているでしょうか、今から楽しみです。

ストックしていた腐葉土がなくなったのでホームセンターに足を伸ばしたところ、棚から商品が消えていました。腐葉土から高濃度の放射性セシウムが検出されたせいで販売中止になったようです。代わりに培養土を買って間に合わせましたがガーデナーにも思わぬトバッチリ、原発被害の広がりを改めて実感しました。

Web内覧会(2)〜男子厨房に立つべし〜

http://img.news.madre-style.com/20110518_1995875.jpg注文住宅を建てようと思い立ったとき、新居で一番いい空間をダイニング(又はダイニング・キッチン)と心に決めて間取りに取り掛かりました。一般にはリビングに傾斜しがちな空間構成を昭和30年代の古き良き日本に逆行させようというわけです。敬愛する建築家の宮脇檀さん(故人)は著書のなかで「住宅産業の若いデザイナーが定式通り家族団欒、コミュニケーションの場などといって飾り立てたリビングルームなどが、決してホームドラマの舞台にならないのは、故向田邦子さん、橋田寿賀子さん、倉本聰さんすべてに共通すること」と指摘されています。生活の根幹が依然として食卓を中心に展開している点をプロの建築家は鋭く見抜いているのです。にもかかわらず日本人の住宅における食事の場はいかにも貧しい。ダイニング(或いはキッチン)に収まるべき空間が大概リビングに侵食されているからに他なりません。

我が家ではスペースの限界で断念を余儀なくされましたが、玉村豊男さんはその先を行き『田園の快楽』のなかで「(台所こそ)一日のうちでもっとも多くの時間を過ごす場所」と位置づけ自らのライフスタイルに忠実な空間構成を実現されています。玉村さんが目指したヴィラデストの12ヶ月は我が家の理想でもあります。以前、ヴィラデストを訪れたとき玉村さん自身がレジに立ち玉村夫人がオリジナルプレートをサーヴして下さいました。思い描いた暮らしがそこにありました。日本では仕事に忙しい亭主は気の利いた料理のひとつも出来ないのが現状です。我が家では愚息共々男子厨房に大いに立つべしというのをプリンシプルに掲げていますので料理もないがしろには致しません。手始めに写真の厨房でショートパスタのオレキエッテを使った料理を思案中です。

アルゼンチン斑岩を使ったアプローチ

先月18日に室内の第1回クリーニングが終わり、職人さんの出入りがめっきり減りました。本体は、震災の影響で搬入が遅れている水廻り機器以外、概ね仕上がったと云っていいでしょう。

旗竿地を敢えて購入したので、本体工事もさることながら外構の出来不出来が外観全体の見栄えを左右することになります。着工時から錆ピンコロを敷きつめようと漠然と考えていましたが、色彩が単調な上にヒールでは歩きにくいという難点も気になり始め、結局振出しに還って再検討することにしました。

パリやローマの石畳に近いイメージを膨らませながら街歩きをするうちに、汐留のイタリア街や赤坂サカスのような敷石が新居に似つかわしいと思うようになりました。輸入業者数社と接触する過程で前述の敷石輸入代理店GS社に辿り着き、写真のような試験貼りを先週済ませて、いよいよGW明けから工事が始まります。

使用するのはアルゼンチン斑岩(Porphyry)、マグマが地中の深部で冷却した所謂半深成岩で石英や長石を含んでいます。最も硬い岩石のひとつで摩耗に強く吸水性も極めて低いので石畳にはうってつけの素材です。その上、天然石特有の豊かな色彩ヴァリエーションがアプローチに美しい表情を付け加えてくれる筈です。長いアプローチになるのでベテランの職人さんに鱗張りをお願いするつもりです。完成する日が今から楽しみです。

Web内覧会(1)〜丸窓にステンドグラス〜

http://pds.exblog.jp/pds/1/200711/19/59/c0124359_1813251.jpg勾配天井にルーフドーマを設えるアイディアは基本設計の段階からプランナーより提起されていたのですが、ドーマの丸窓にステンドグラスを配うことになろうとは半年前には想像すらしていませんでした。

ステンドグラスと云えば、大学卒業間際に訪れたケルン大聖堂で仰ぎ見たステンドグラスが今も強く脳裏に焼き付いています。社会人になってから訪れたサグラダ・ファミリア教会内部には仄暗い天井ヴォールトに嵌め込まれた無数の丸い採光用ガラス窓があって、太陽光を色鮮やかなステンドを通して取り込んでいたのを思い出します。

公共建築、とりわけ教会建築には欠かせないステンドグラスを蛮勇を奮ってくだんの自宅丸窓に配う決断をしたところ、インテリアコーディネーターを介してステンドグラス作家のK氏と望外の出会いがありました。最初は色遣いを最小限に抑えたいK氏と意見が食い違う場面もありましたが、工房打ち合わせで最終的なデザインが決まり写真のようなステンドグラスが出来上がりました。ジブリ美術館の塗装も手掛けたQ社の青山さんが絶妙の色調合でアイボリーホワイトの塗り壁を拵えてくれたお蔭で、吹き抜けの中心にある丸いステンドグラスからは柔らかい日差しが差し込んできます。百合をモチーフにした曲線美のデザインがとても気に入っています。

K氏はご自身のブログに<おしゃれなリビングルームの吹抜にある丸窓エレガントなアールヌーヴォー調のデザインで左右対称の曲線図柄です。ポイントカラーに赤色のガラスを使い柔らかなカーブのビベルドガラスが、輝きを増しています。いつもの事ですが丸窓にステンドグラスを施工する時デザインの水平をだすのに苦労します。>と記されています。K氏はひとりで取り付けにいらして満足気に帰られたと現場監督から報告を受けましたが、施主も独り秘かにその仕上がりに満悦していたのです。

大震災と住宅建設事情

http://pds.exblog.jp/pds/1/201104/06/24/d0224624_034888.jpg昨年8月の着工から9ヶ月弱、諸事に亘って紆余曲折を重ねましたが、引っ越しまで1ヶ月余りとなりました。同時期に着工したお隣さんは手際よく工事を進められ、昨年末に引っ越しを済まされていました。細部にこだわり遅々とした歩みの我が家とは対照的です。年度末さえ通り越した今、開き直って職人さんの現場作業を邪魔しながら引渡しまで家普請を愉しもうと思っています。

振り返れば建設現場の足場がとれたのは震災の前日、職人さん達に怪我がなくて本当に幸いでした。一方、竣工まであと少しの我が家でさえ少なからず震災の影響を受けることになりました。当初発注していたINAX製品が組立て工場の被災で入荷の目処がつかなくなり急遽TOTO製品に切り替えたりと震災で資材供給や物流に支障が生じたために欠品被害を被っています。在庫を最小限に抑えたり得意分野に経営資源を集中する経営手法が効率的とされる昨今、大震災を契機にこうした効率重視の経営スタイルは再考を迫られることになるでしょう。海外に生産拠点を設けて天災地変リスクの回避を図っているとされるトヨタが北米で7割の減産を余儀なくされています。重要な部品が日本から供給される限り、海外に生産拠点があっても張り子の虎同然というわけです。

新居に使われた合板は石巻合板工業株式会社の製品でしたが、津波で同社工場が水没して今も操業再開に至っていません。石巻に合板メーカーが集中していることを震災直後に知って思わず天を仰ぎました。首都圏に代表される大都市圏の需要を支えるために福島県が古くから原発を抱え、津波被害の絶えない三陸沖の石巻が主力合板工場を擁して人口集積地の住宅需要を賄うという構図を再認識させられた以上、東北の復興は被災者を除く国民全体の負担で一刻も早く軌道に乗せなければいけないと思います。

ブログ上で途中経過をタイムリーに書き込まない儘に竣工引渡し時期が迫ってきて少々焦っています。注文住宅建設の過程を具に見て感じたことを引き渡しまでに可能な限りブログに記しておくつもりです。

内装工事が始まりました!

ブログタイトルに掲げた家普請のフォローを随分長い間さぼってしまいました。いよいよ内装工事が始まり、ビルダーさんとの打ち合わせ頻度も週1回から2回前後に増えつつあります。書き留めておきたいことは山ほどあるのですが、壁紙や照明器具の選択に始まり塗り壁の色指定等々施主の決めごとも急増したため、落ち着いてパソコンに向かいブログ更新することが儘なりません。さはさりながら、竣工してしまえばブログの看板も書き換える予定ですので、春に向かってこまめにアップデートしていこうと思っています。

先週は書斎の壁紙をモリス柄スタンデンに決め、直接ロンドンに発注をかけたところです。付き合いのあるMANASさんには在庫がなかったので施主支給ということになりました。ブロガーの書斎(左下)は北側斜線に引っ掛かる二階部分にあるので、高く懸けられた勾配天井をどうあしらうかがポイントになります。思案の末に北側の壁にはモリス柄スタンデンを貼り、勾配が始まる境界から同系色のモリスグリーンを天井に向かって貼ることにしました。フローリングはウォルナットをヘリンボーンに敷き詰めるのでモリス柄との相性は悪くないはずです。天井に届く造り付けの書棚のブラウンと天井色の取り合わせも書斎空間をシックに演出してくれるでしょう。

外観デザインにも腐心しましたが何と云っても大切なのは日々の暮らし、インテリアの重要な構成要素である色や質感にこだわりながら、壁紙や塗り壁そしてフローリングの詳細を詰めていくつもりです。

境界塀をめぐる相隣関係

以前お世話になったエクステリア業者のオフィスでお隣さんになるK氏夫妻と待ち合わせ、共同で設置することになった境界塀のイメージについて話し合いの場を持ちました。勿論、お互い敷地内に塀を設けるのであれば法令に違反しない限り自由に境界塀を拵えればよく隣家との煩わしい交渉も一切必要ありません。しかし、著しく地価の高い都内では隣地境界を中心に隣家と共同して境界塀を拵えることが出来れば、境界塀のための敷地負担がそれぞれ半分で済み、かつ塀の構築コストも折半出来るので双方にとってメリットです。価値観が多様化した今日、施主同士のこうした話し合いはもとより難航するものと諦観しつつ話し合いの席に就いたわけですが、3回目となる今回の話し合いでお互いの希望事項の擦り合わせが円満に進み境界塀のイメージもほぼ固まってきました。あらかじめ間取り図を交換した上で、1)双方のプライバシーの確保、2)隣家開口部分の採光確保、3)隣家の通気性確保、4)建物外観・境界塀の調和(見栄え)といった居住面の前提条件を忌憚なく議論できたのも大きな収穫でした。東西の境界にメッシュフェンスを設け小振りのオカメツタでグリーンベルトを作るという我が家の提案(写真左が完成イメージです)も受け容れて頂けそうです。我が家より数週間遅れで着工した隣家は来週には上棟とか・・大手ハウスメーカーの効率的な工程管理には目を瞠るものがあります。我が家が追い抜かされるのも時間の問題でしょう。夕方現場に立ち寄ったところ、構造壁が立ち上がった2階部分まですっかりブルーシートで蔽われていました。いよいよスパニッシュナチュラルスレートで屋根瓦が葺かれていくことになります。