Web内覧会(2)〜男子厨房に立つべし〜

http://img.news.madre-style.com/20110518_1995875.jpg注文住宅を建てようと思い立ったとき、新居で一番いい空間をダイニング(又はダイニング・キッチン)と心に決めて間取りに取り掛かりました。一般にはリビングに傾斜しがちな空間構成を昭和30年代の古き良き日本に逆行させようというわけです。敬愛する建築家の宮脇檀さん(故人)は著書のなかで「住宅産業の若いデザイナーが定式通り家族団欒、コミュニケーションの場などといって飾り立てたリビングルームなどが、決してホームドラマの舞台にならないのは、故向田邦子さん、橋田寿賀子さん、倉本聰さんすべてに共通すること」と指摘されています。生活の根幹が依然として食卓を中心に展開している点をプロの建築家は鋭く見抜いているのです。にもかかわらず日本人の住宅における食事の場はいかにも貧しい。ダイニング(或いはキッチン)に収まるべき空間が大概リビングに侵食されているからに他なりません。

我が家ではスペースの限界で断念を余儀なくされましたが、玉村豊男さんはその先を行き『田園の快楽』のなかで「(台所こそ)一日のうちでもっとも多くの時間を過ごす場所」と位置づけ自らのライフスタイルに忠実な空間構成を実現されています。玉村さんが目指したヴィラデストの12ヶ月は我が家の理想でもあります。以前、ヴィラデストを訪れたとき玉村さん自身がレジに立ち玉村夫人がオリジナルプレートをサーヴして下さいました。思い描いた暮らしがそこにありました。日本では仕事に忙しい亭主は気の利いた料理のひとつも出来ないのが現状です。我が家では愚息共々男子厨房に大いに立つべしというのをプリンシプルに掲げていますので料理もないがしろには致しません。手始めに写真の厨房でショートパスタのオレキエッテを使った料理を思案中です。