三菱UFJ銀行で起きた驚天動地の貸金庫窃盗事件

三菱UFJ銀行(練馬支店と玉川支店)で起きた行員による貸金庫窃盗事件の朝日新聞記事(24-12-8付)を読んで、吃驚仰天しました。窃盗の被害額が十数億円相当にのぼると報じられたからです。11月22日に経済専門紙・日経新聞が報じていたようですが、記事の扱いが小さかったせいか、まったく気づきませんでした。被害者は、驚く勿れ60人に及ぶそうです。記事が指摘するまでもなく、防犯体制の整ったメガバンクの貸金庫ほど安全なところはないと誰もが思っているはずです。現に我が家では、最寄駅近くのメガバンク支店貸金庫に貴重品を預けています。貸金庫に収まっているのは、保険証や自宅の登記識別情報などです。妻はちょくちょく出し入れに訪れているようですが、自分は数年来訪れたことがありません。


三菱UFJ銀行玉川支店

自宅に現金(推奨されませんが)や貴金属、宝石などを置いておくのは物騒ですから、銀行貸金庫は真っ先に思いつく安心・安全な保管先です。今回の事件発覚で銀行貸金庫は決して安全でないことがよく分かりました。貸金庫の内箱に南京錠をつけなければいけないようでは、本末転倒です。


三菱UFJ銀行のリリース

メガバンクを舞台にした巨額窃盗事件にも関わらず、一部雑誌メディアを除いて、オールドメディアの報道姿勢は総じて消極的な印象です。巨額のPR料を支払うCM主に忖度するオールドメディアの迎合体質が透けて見えるようです。三菱UFJ銀行公式HPのトップにリリースが掲載されているか思いきや、検索して初めて11月22日付けの「元行員の不祥事について」と題したリリースにたどり着けました。事件が発覚したのは本年10月31日のことです。懲戒解雇したから元行員の不祥事?現役管理職行員の犯罪行為だったわけですからミスリードも甚だしいと言わざるを得ません。隠蔽体質ここに極まれりです。4年6ヶ月もの長期間にわたって、事件が発覚しなかったのは、同行の内部検査がいかに杜撰だったかを物語っています。漫画家の倉田真由美さんはこう述べています。国と言うのはやや大げさですが、発言趣旨にまったく同感です。

「銀行の安全性そのものが根本からひっくり返る大事件、まだ記者会見もなく犯人の名前も出ないのは何故なのか。この重大事件がこのまま闇に消えていくとしたら、日本という国は表の体裁すら整えられなくなった三流国ということになる」

最大の問題点は、被害者が銀行側にどんなモノを貸金庫に預け入れていたかを証明できないことです。犯人が逮捕されないのは、銀行が告訴を見合わせ、守秘義務と引き換えに被害者の申告どおりの補償を内々に行って、事件を表沙汰にしたくないからでしょう。金融庁は、三菱UFJ銀行に対して銀行法に基づく報告徴求命令を近く出すそうです。銀行の信用失墜を象徴する事件だけに、銀行側は徹底的に管理体制を調査した上で、一日も早く記者会見を開いて事件の詳細を公にすべきだと考えます。とどのつまり、事件の詳細が明るみに出ないようなら、この国は終わったも同然です。