秋の蚊の猛威

今年は9月になっても暑さが一向に収まらず、都心では真夏日(30度以上)が90回に達し、平均気温は全国1万ヶ所で観測史上最高を記録することになりました。

「蚊」は夏の季語。句集を紐解けば、秋の「蚊」は短い寿命(2週間〜1ヶ月)が尽きる時季を迎え、息絶え絶えという句作が目立ちます。

〇 秋の蚊のよろよろと来て人を刺す( 正岡子規「子規句集」)

〇 秋の蚊の鳴かずなりたる書斎かな( 夏目漱石漱石全集」)

にもかかわらず、今年は9月最終週あたりから「蚊」の猛攻に遭っています。庭先で洗車していると、不快な羽音を掻き立てながら近づいてくるヤブ蚊にあっという間に腕や顔など数箇所刺されてしまいます。酷暑で活動できなかった「蚊」は、気温が30度を下回る頃から活発に行動し始めるそうです。マイカー車内に侵入した「蚊」の密室攻撃に遭うことも度々です。いったん刺されると痒みは数日引きません。市販の軟膏は効果薄なので、この時期こそ、虫よけスプレーを露出する皮膚に吹きかけるなど予防策を講じておくべきだったと反省しきりです。

ヤブ蚊と呼ばれる「ヒトスジシマカ」の成虫(メス)(写真・上はアース製薬HPから拝借しました)は、月平均気温が10℃を下回り昼間の時間が短くなると越冬用の卵を産み、死んでしまいます。拡大された「ヒトスジシマカ」の姿をまじまじ見ると、アース製薬HPにあるように、身近に潜むキケンなモンスターという形容がぴったりです。産卵には哺乳類の血液が欠かせません。「蚊」の最期の足掻きは侮れないのです。

地球の温暖化は「蚊」の生態にさえ影響を及ぼしているのです。「ヒトスジシマカ」の北限は1950年代の北関東から徐々に北上し、北海道上陸が現実味を帯びてきているのだそうです。