消化器外科医の息子から大腸内視鏡検査を執拗に勧められています。過去に一度だけ受検した経験がありますが、ずいぶん昔のことです。老いては子に従えと云いますから、今年は手始めに専門クリニックで受診しようと思っています。息子曰く、自覚症状がないため大腸がんが発見されたときにはもう手遅れということが少なくないそうです。畳の上で安らかに死にたいというのは誰しも願うことですが、大腸がん末期の苦しみは尋常ではないようです。息子は多くを語りませんでしたが、担当する親とほぼ同年代の患者さんの予後が芳しくないようです。
国立がんセンターのHPを読むと、1.5m~2mもの長さに達する大腸は大きく結腸と直腸に分けられ、さらに結腸は下の図のように盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸に分けられます。大腸がんとは大腸表面の粘膜から発生する悪性腫瘍の総称です。粘膜表面から大腸壁の奥深くへとがんは進行していくのだそうです。早期発見が一番だと分かってはいるつもりですが、検査準備の煩わしさも手伝って自分は大丈夫だと思って敬遠してきました。そろそろ、そんな態度は改めようと思っています。
2日前、女優の島田陽子さん(享年69歳)が大腸がんで亡くなったと報じられました。3年の闘病生活のなかで医師から勧められた人工肛門は拒否したそうです。大腸がんの部位によっては、手術によって腹壁に人工的に排泄口・「ストーマ」を作る治療も一般的です。ですが、便はいつ排泄されるのか分かりません。そこで、患者さんは尿や便を一時的に受け止める袋状の装具(パウチ)を常に身に着け、管理することになります。
食道がんの場合だと、胃に小さな穴をあけてカテーテル(管)を取り付けて口を介さずに栄養を補給する「胃ろう」を造設することもあります。「経管栄養」と呼ばれる方法で、何らかの理由で機能障害を起こし口から食事を摂取できなくなったときに、チューブやカテーテルなどを使って人工的に栄養を補給していくわけです。鼻の穴から食道や胃に管を通す「経鼻経管栄養」ならまだしも、「胃ろう」や「腸ろう」のような「生かされる治療」は自分ならご免です。
自発的に食べられなくなったり、排泄できなくなったからといって、「ストーマ」や「胃ろう」のような人工的な生命維持装置に頼ってまで生き永らえたくはありません。家族がそんな情況になった場合でも、よく相談して、本人の自己決定権は可能なかぎり尊重したいと思っています。