祝ギネス世界記録:「ゴルゴ13」単行本巻数は「こち亀」を抜いて世界一に

こち亀」の「週刊少年ジャンプ」連載が終了したのは2016年。「こち亀」の単行本全200巻を「ゴルゴ13」(連載開始は1968年)が抜き去ったと知って感慨を新たにしているところです(現在202巻)。作者のさいとう・たかを氏は84歳、体力が続くかぎり描き続けるそうですから、このギネス記録は他の追随を許さない金字塔であり続けることでしょう。東西ドイツを分断していた全長155km・高さ3.6mのベルリンの壁が崩壊したのは1989年11月9日。当時、東西冷戦終結ゴルゴ13は失業してしまうのではと心配した向きもあったようですが、完全な杞憂でした。因みに201巻は仮想通貨を取り上げているそうです。

ゴルゴ13」は「こち亀」と甲乙つけ難い傑作コミックで、コンビニでペーパーバック体裁の「別冊ゴルゴ」をよく買ったものです。「こち亀」のように全巻を読破したわけではありませんが、作者のさいとう・たかを氏、読者、各界著名人が選んだ<BEST13>を所収した極厚本(完全保存版)3冊を大切に保管しています。

その完全保存版を本棚から引っ張り出してきて、この記事を書いているところです。特筆すべきは、作画スタッフに脚本家が加わり、一話が数十頁に及ぶ大作である点です。軍事衝突や難民問題などの最新国際情勢にとどまらず、政治、経済、歴史、科学など取り扱うテーマがとてつもなく幅広くしかも深堀りしているので、飛ばし読みなどもってのほかです。一話をキチンと理解し読み切るには相当な集中力が必要です。「こち亀」の連載終了時にブログで言及したように、「こち亀」はちびっこから大人まで人が社会でよりよく生きるための知恵や勇気を授けてくれます。一方、正体不明のスナイパーが主人公の「ゴルゴ13」は、世界を知るための羅針盤的存在です。日本企業の海外駐在員には勉強のための「ゴルゴ13」を愛読している者もいるくらいなのです。つまらない学校の授業を聞くくらいなら、「こち亀」と「ゴルゴ13」を読めとちびっこに申し上げておきます。ギネス記録を競ったこのふたつのコミックを読破すれば、相当な知恵者になれること請け合いです。

ギネス世界記録認定を機に、完全保存版3冊を再読してみましたが、選ばれし作品だけあって質の高さは舌を巻くレベルです。ちなみに、リーダーズ・チョイスBEST1に輝いたのは「日本人・東研作」でした。完全保存版3冊から独断と偏見でマイベスト3を選んでみました。いずれも、愛読者の皆さんの記憶に残っている作品ではないでしょうか。

さいとう・たかをセレクションから:「MOSCOW DOLL」(次点:「死闘ダイヤ・カット・ダイヤ」)

リーダーズ・チョイスから:「病原体・レベル4」(次点:「G線上の狙撃」)

各界著名人セレクション:「白龍昇り立つ」(次点:「五十年の孤独」)