スコットランドよ英国を捨てないで

英国では、スコットランド独立の是非を問う住民投票を18日に控え、与野党党首3人がスコットランドに入って「どうか英国を捨てないで欲しい」と最後の訴えかけをしているそうです。

保守党党首のキャメロン首相に至っては、エディンバラにおいて「スコットランドが国家であるかどうかを問う投票ではない。スコットランドは国である。しかしながら、300年にわたって英国の家族の一員だった」と持ち上げて、態度を決めかねているスコットランド人の懐柔に懸命です。

『イギリス史10講』(岩波新書)によれば、そもそもイングランドスコットランドの合同即ちグレートブリテン王国が誕生したのは1707年。スコットランドのジャコバイト対策としてイングランドスコットランドの主権を吸収したものの、スコットランドの司法制度と長老派教会は維持されたので、合同によって成立したのは「一君一議会二法二教会」のプロテスタント連邦国家だったことになります。

スコットランドではサッチャー政権下の規制緩和の影響で重厚長大産業の大型倒産が相次いだこともあり、地方の自治権拡大に否定的だった英政府への反発が高まり、1997年の総選挙で労働党が圧勝、1999年にスコットランド政府と議会が成立したという経緯があります。従って、スコットランド労働党の地盤でもあります。労働党政権時のブレア元首相(1997〜2007)もブラウン前首相もスコットランド人でした。こうした歴史的背景の下、スコットランドに委譲された正当な権限に基づき住民投票が行われるというわけです。

英政府はもとよりユーロ圏を含む世界が虚をつかれた格好です。「まさか」の独立がもたらす影響とは・・・真っ先に懸念されるのは通貨高権がどうなるのかということです。住民投票実施を掲げスコットランド議会の最大勢力となったスコットランド民族党(SNP)はポンドの継続使用を主張しているようですが、英政府にしてみれば虫のいい提案だけに、おいそれとこの通貨同盟の提案を呑むわけにはいかないでしょう。一方、フリーライダーを容認しなければポンドの影響力が低下することは必至です。すでにポンドも株も下落し始めています。RBSロイズ銀行は本拠地を移転することも検討中とか。もうひとつ根本的な疑問は、国家債務の負担割合の行方です。

スペインのカタルーニャもそうですが、民族自決を旗印に「独立」を掲げたものの、近未来の国家のかたち、とりわけ経済や外交と云う喫緊の課題にまで、リーダーの頭が回っていないように見受けられます。この独立への歩みは長い年月をかけて築いてきた国家の基盤を危うくする愚行に思えてなりません。


イギリス史10講 (岩波新書)

イギリス史10講 (岩波新書)