師走入りした矢先、ちょっとした発見があって、此のところ熱燗の晩酌に嵌っています。お正月に冷酒を少し嗜む場合を除いて、我が家の食卓に日本酒が登場することはありません。ワインと比べると日本酒はどうしても甘いので、普段から敬遠気味というわけです。
そのため、随分前に気に入って購入した備前徳利もお猪口も半ばお蔵入り状態。ところが先日、仕舞い込んでいた到来物の桐箱入り大吟醸を家内が見つけて食卓に引っ張り出してきたので、自宅で初めて燗酒を呑む機会がありました。これが実に美味しくて、つまみに用意したブリ大根や塩辛とぴったりなのです。
数日後、百貨店に出掛けていた家内から買い物の用事はないかとメールがあったので、「燗づけの容器を買ってきて」と返信したところ、「ちろりですね」とショートメールが再返信されてきました。酒たんぽ(湯婆)という名称は知っていたのですが、写真の品が「ちろり」と呼ばれていることを迂闊にも知りませんでした。
「地炉利」や「千呂利」という漢字を充てるのだそうです。語源は、囲炉裏がなまったものと云われており、”ちろり”と短時間に温まるから、或いは酒好きが待ちきれずチロリと舌を出すからとか。「ちろり」は、熱伝導性に優れる錫や銅で作られますが、我が家が購入したのは錫製、沸騰したお鍋に漬ければ瞬く間に熱燗の出来上がりです。
冬の寒い日、湯豆腐をつつきながら燗酒を呑むのもいいものです。