クリスマスコンサート@府中の森芸術劇場ウィーンホール


12/8(金)の夜は府中の森芸術劇場で開催されたクリスマスコンサートへ。都心でコンサートを聴くことはあっても、郊外まで足を運ぶことはめったにありません。今回は、最近結成されたばかりの新進気鋭のソロ・アンサンブル・ヴィエバルト(女性声楽グループ)に興味をそそられ決断しました。初の本格公演だそうです。さらに、ウィーン・オペラ座バリトン歌手クレメンス・ウンターライナーがゲスト共演するとあっては、見逃せません。

522人収容のウィーンホールは、パイプオルガンを擁するシューボックス型。備え付けピアノは芸術品ともいわれるベーゼンドルファー(コンサート275型)でした。冒頭は「ふるさとの四季メドレー」と題した唱歌のメドレー。11人のソプラノ・メゾソプラノが次々と奏でる聞き慣れたメロディーがホールを包み込むようにこだまします。音響性能に優れるホールで聴くアンサンブルは圧巻でした。そんな圧倒的な歌唱力もさることながら、カラフルなドレスに身を包んだ現役音大生とOGが壇上に一斉に並ぶだけでも華があります。

プログラムの構成が観客を飽きさせない内容だったことも好感がもてました。リーダーの七澤結さんの曲相にシンクロするような豊かな表情にも心洗われました。第I部ではオペレッタ「こうもり」や「ロミオとジュリエット」の代表的アリアを聴かせ、最後はおなじみ「ハレルヤコーラス」(ヘンデル)で締めくくります。ソロで声楽家それぞれの個性溢れる歌唱を披露した上で、再びアンサンブルへ戻るという構成はお見事でした。

第II部でアヴェ・マリアの聞き比べ。グノーやシューベルトはよく知られていますが、初めて聴くマスカーニやゴメスのアヴェ・マリアも聞き応えがありました。岡部音楽監督曰く、第一部はかしこまったクラシック、後半はポップスも採り入れ趣向に富んだ構成をめざしたそうです。ミュージカル「天使にラブソングを」の劇中歌"Hail Holy Queen"では、自然と観客の手拍子を誘いましたから、監督の目論見はずばり的中したわけです。

トリはクレメンスによるシューベルトアヴェ・マリア。貴公子のようなマスクだけで十分観客を魅了するのに、力強さと優雅さを併せ持ったバリトンが奏でられるのですから、拍手に交じって嬌声が聞こえてきました。アンコールは「きよしこの夜」、ステージと観客一体となる合唱でフィナーレとなりました。世代を越えて楽しめるコンサートだったと思います。