AI関連投信は看板に偽りあり!

AI(人工知能)関連投信に資金流入が続いているそうです。投信嫌いなことを知りながら、懇意の証券マンは懲りずにアプローチしてきます。

2017年2月24日現在で三井住友の「グローバルAIファンド」の純資産額は2595億円、2016年9月9日の当初設定時は901億円でしたから、わずか5か月余りで純資産額は2.8倍にまで急成長したことになります。昨年11月に「ニッセイAI関連株式ファンド」が追随しましたが、こちらは2017年1月末現在で純資産額は200億円と先行ファンドに大きく水をあけられた格好です。

「グローバルAIファンド」の最上位組入銘柄は自動運転車で有名なテスラ・モーターズ(5.2%)、2位はクラウドベースの顧客管理ソフトを提供するセールスフォース・ドットコム(4.7%)です。そこまでは一応納得ですが、フェイスブックツイッターなど情報技術関連が続き、IT関連ファンドとの違いがはっきりしません。極論すれば包み紙を変えただけのようにも映ります。さらに、交付目論見書を見れば、驚くことにモデルポートフォリオの予想PERが67.2倍と記載されています。

注目度が高いAIテーマ型投信人気に便乗しようと、最近、ゴールドマンサックスも「GSグローバル・ビッグデータ投資戦略(愛称:AIブレイン)」を投入しました。信託報酬こそ1.323%とやや低率ですが、購入手数料上限は3.24%とぼったくり投信であることに間違いありません。

参考までにとこのファンドの組入上位10銘柄(各1〜1.5%)も調べてみました。1位はJPモルガンチェース、2位はAT&T、3位はバイエル・・・・時価総額の大きい金融やヘルスケアが組み入れられています。こちらはビックデータやAIなど最新テクノロジーを用いた評価が売りのようですが、MVPモデルと称する評価モデルの実相はベールに包まれていてよく分かりません。

確かにAIの存在感は増すばかり、応用範囲も広く従来のビジネスモデルを大きく進歩させる可能性は認めます。しかし、顧客データの解析など従来から企業が熱心に取り組んできた課題の延長線上にあるものを、AIという顧客受けする言葉で一括りにしている点はかなり問題だと感じています。従来のIT関連のラッピングペーパーを変えただけかも知れないのではと、自分はAI関連投信には懐疑的です。AI関連投信への投資は、運用報告書の組入銘柄を仔細に検討してからでも遅くないし、いいと思える個別銘柄を自分のポートフォリオに加えていけば足りるのではないかと思えてなりません。