先月末、都心の信託銀行で自宅売却の手続きを済ませてきました。売却することを決意したのが2月末、震災を挟んで売買の地合が悪化するなか、内覧された三組目のご夫婦が我が家を大層気に入って下さり、程なく約定となりました。住み慣れた自宅を手放すのは後ろ髪引かれる思いでしたが、買主の方が建物のハードな部分だけではなくソフト面も評価の上で購入を決断して頂いたので胸の痞えが下りました。二十年そこらで建物価値が零になる我が国の中古住宅市場、何とかならないものでしょうか。100年以上経った家を尊ぶイギリスのように、古いモノに手を加え乍ら経年変化を愉しむ住宅文化が日本でも育まれるといいのですが・・・
売買代金の振込と引き換えに鍵を買主に引き渡し、貸金庫から引っ張りだした権利証を担当司法書士に手渡しました。不動産登記法が改正され2005年3月から権利証に代わって登記識別情報という概念が登場したため、買主の方は今回の所有権移転登記が済むと12桁のアラビア数字と符号から成る登記識別情報通知を受領することになります。同法改正以前の登記済証(権利証)には登記所の朱印が押されそこはかとない重みが感じられたものでした。人生最大の買い物が済んで登記所から交付されるのが登記識別情報をシールで覆った紙切れ1枚ではなんとも遣り切れないではありませんか。所有権移転が済めば単なる紙切れになり下がる我が家の権利証、記念に移転登記が済んだら返戻して貰うことにしました。権利証の時代が懐かしい!