一年で一番美味しいお酒「ひやおろし」の季節到来 ~「開運 ひやおろし 純米」を味わう ~

9月中旬を迎え、外を歩くとひんやりとした空気が頬を撫でるようになりました。一年で一番美味しいお酒「ひやおろし」が酒屋さんの店頭に並ぶのはこの季節です。劣化を防ぐために、普通の日本酒は2回の火入れ作業を行ってから市場に出回ります。一方、「ひやおろし」は1回だけ火入れされたあと夏の間は低温貯蔵され、秋になって卸されるのでこの名があります。さらに時間が進むと、「夏越し酒」、「秋だし一番酒」と呼び名が変わったりします。

日本酒は秋に収穫したお米を使って冬から春にかけて造られますが。新酒として卸さないで、夏の間じっくり低温貯蔵し熟成させる「ひやおろし」は、秋に旬を迎えるお酒ということになります。銘柄によって勇み足があるようですが、「ひやおろし」の解禁日は9月9日、重陽節句と重なります。

解禁日の2日後、昨年12月にオープンした「焼鳥山もと 阿佐ヶ谷cellar」を訪れ、静岡県掛川市・土井酒造場が手掛ける「開運 ひやおろし 純米」を味わってきました。一般にフレッシュさが引っ込んで円熟味が増すと言われる「ひやおろし」ですが、「開運 ひやおろし 純米」は深みのある味わいにほんのりとした甘さが加わり、冷酒で頂くとシャープでフルーティーな印象が際立ちました。

誕生して半年を過ぎたばかりの「焼鳥山もと 阿佐ヶ谷cellar」はカウンターだけの12席。三鷹店より店内が少し狭くて天井が低い分、隠れ家のような雰囲気で落ち着きます。コースメニューの組み立てが秀逸で、焼鳥だけではなく、かわいらしい照り焼きチキンバーガーやテディベアのかたちをした最中に名物白レバームースをつめたひと品で目も楽しませてくれます。

ぼんじりやなんこつ入りつくねなどお店自慢の絶品焼き鳥と「ひやおろし」との相性は抜群で、ひと足早い秋の味覚のハーモニーを堪能しました。帰宅後、晩酌用に買い求めたのは、岩国・八百新酒蔵の「雁木 ひやおろし 純米吟醸」です。深まる秋に向かって、全国各地の蔵元から出荷される「ひやおろし」をたっぷり味わっておきたいものです。