ニコン・ショック|一眼レフ開発から撤退

1959年以来、半世紀以上にわたって一眼レフを手掛けてきたニコンがとうとう開発から撤退することになりました。今後はミラーレスに注力するそうです。ニコンの前身は日本工学工業、戦時中は潜水艦の潜望鏡や戦艦大和の大砲の測距儀も手掛けた名門企業でした。ニコンの2021年3月期決算は357億円の赤字、カメラ事業の構造改革は待ったなしの状況にあります。

高画質・高性能スマホの普及に伴い、ひと昔まえの一眼レフ並みの解像度写真が手軽に撮れるようになりました。一眼レフが苦戦していることは承知していましたが、まさかニコンが撤退とは市場規模の縮小は想像以上だったのでしょう。改めてカメラの出荷台数推移を確認して劇的な市場規模の縮小に驚愕しました。出荷台数のピークは2010年の1億2146万台、2021年の出荷台数は836万台(出荷金額4889億円)ですから、この間の出荷台数減少率は-93%に達しています。出荷金額のピークは2008年・2兆1640億円ですから出荷金額においてもピークの25%以下の水準まで下がっています。唯一、健闘しているのが高価格帯のミラーレス(前年比+31%・3245億円)です。

米アップル社がiPhoneを発売したのは2007年。前年にはソニーコニカミノルタからカメラ事業を買収、2020年には名門オリンパスがカメラ事業をプライベート・エクイティ・ファンド傘下のOMデジタルソリューションズに譲渡しています。振り返れば、カメラ業界は激震に見舞われ続けていたわけです。後発組のソニーが2013年にフルサイズ画像センサーを搭載した「α7」を投入、ミラーレス市場を先導するとは思いも寄らない展開でした。2018年3月に発売されたフルサイズセンサー搭載のα7 IIIが根強い人気をキープしており、ずっと気になる存在です。

数年前までは、旅先でいい写真を撮りたいがために交換レンズと共に重たい一眼レフを携行していましたが、最近は専らiPhone 11 pro(解像度:2436X1125・画素数:1200万画素)に頼っています。トリプルカメラを搭載しているので、望遠・広角に加え、超広角の撮影も可能です。

キャノンの一眼レフを長年愛用してきましたが、そろそろ買換えようと思っています。交換レンズも充実してきたミラーレスに鞍替えすべきか、一眼レフにこだわるべきか、心は千々に乱れています。