吉祥寺に誕生した天然氷のかき氷店「中町氷菓店」

三連休の中日、この4月にオープンしたばかりの中町氷菓店を訪れました。天然氷を使ったかき氷店と知って、ずっとこの機を窺っていました。このところ、梅雨の戻りのような鬱陶しい天気が続いていたので、久しぶりに蒸し暑い1日となったこの日は恰好のかき氷日和だったのです。

東急・吉祥寺店裏の小路に面したレトロな建物の2階が中町氷菓店です。狭い間口に掲げられた氷旗が目印です。地元の開店・閉店情報を掲載するウェブサイトなどで店舗情報を仕入れておかない限り、通りすがりでは間違いなく見落としてしまうことでしょう。

松本市に本店を構える中町氷菓店にとって、鎌倉に続く3号店だそうです。なんの変哲もないかき氷屋さんでも夏場の行列は当たり前。天然かき氷となれば長蛇の行列は覚悟の上です。15時過ぎに入口に吊るされたボードを見ると先客は10組でした。狭い階段を忙しく昇降する女性店員さんに待ち時間を尋ねると2時間前後。名前を記して、近くのジュンク堂へ向かいました。天然氷のかき氷食べたさに、長瀞の阿佐美冷蔵金崎本店で炎天下に1時間以上並んだこともあります。吉祥寺中心部なら時間潰しに事欠きません。吉祥寺に天然氷のかき氷店が誕生したのは嬉しいかぎりです。

17時過ぎに入店。カウンター席はわずか8席。看板商品の「信州完熟生苺」(先客のお品を撮影)とメロンは完売。悩んだ末に宇治金時ならぬ知覧あずきを注文しました。

知覧茶の極上抹茶クリームあずき 極 1600円」

天然氷はゆっくりと凍るので冷蔵庫の氷と比べると圧倒的に(水以外の)不純物が少なく、溶けるスピードも遅くなります。縁日のかき氷ならあっという間にベチョベチョと溶け出すところですが、天然氷なら慌てて食べる必要もありません。おまけに天然氷は硬くて薄く削れるため、食感は口溶けよくふわふわしています。お餅を加えた粘り気のある特製練乳のお蔭で、しばらく食べずに眺めていても美しい見た目が保たれます。食後に供される野沢菜も相性抜群でした。

天然果実のソースはオーダーが入ってから作られます。従って、注文したかき氷が提供されるまで5〜10分かかります。お店は店主と店員さんのふたりが切り盛りしています。お隣さんが発声障害のある方だったのか、店員さんが笑顔で筆談に応じられていました。総じておふたりの応対がとても丁寧で気持ちよく、すっかりお店のファンになりました。

提供できるのはせいぜい1日80食だそうです。場合によっては2食3食召し上がる剛の者もいるらしく、猛暑日に天然かき氷にありつくのは端から諦めた方が良さそうです。