これからも応援したい地元の酒屋さん~碇屋酒店@三鷹~

7~8年前でしょうか、よく通っていた酒屋さんが駅前から姿を消しました。日本酒、ワイン、洋酒、焼酎、紹興酒等々、こだわりの品揃えで常連さんを惹きつけていた記憶があります。信州・桔梗ヶ原一帯でコンコードやナイアガラといった地元特産ブドウを栽培し、純国産ワインを生産するワイナリー・井筒ワインやサングリアをこちらでよく買いました。

そこから目と鼻の距離にもう一軒、贔屓にしている酒屋さん<碇屋酒店>があります。こちらは、去年、創業90周年を迎えた老舗です。酒門の会加盟店で、デパートなどではめったにお目にかかれない稀少な地酒に出会えます。日本酒が恋しくなる冬場に自然と足が向かいます。酒蔵のなまこ塀を思わせる背景に大きく酒名を墨書した貼り紙は、謂わば<碇屋酒店>のアイコンです。近づいてよく見ると、細かい文字で説明書きも添えられています。<碇屋酒店>に入るとひんやりした空気に包まれ、奥へ進むにつれて仄暗くなっていきます。日本酒の理想的な保管場所は冷暗所だと言われますから、その通りになっています。

昨年暮れに注文した季節限定酒「醸し人九平次 うすにごり」が入荷したと電話があったので、先月末、引き取りに伺いました。「醸し人九平次」は、パリの3つ星レストランが初めてワインリストに加えた日本酒として海外でも高い評価を得ているブランドです。造り手の萬乗酒造はワインの本場でブドウ畑を取得して、ワイン造りにも挑戦しているそうです。「醸し人九平次 うすにごり」は搾りたての生酒ですから、写真下のように柑橘系の香りを愉しむべく、ワイングラスで頂きます。近年、低迷の続く日本酒需要が巣ごもり消費の拡大で復調の兆しを見せているようです。現に<碇屋酒店>で代金支払いをしていると、次々と20代~30代の男性が「醸し人九平次 うすにごり」の引き取りに現れ、店頭は大わらわでした。

 

スーパー、コンビニ、格安ショップに加え通販サイトとライバルが激増していますから、個人営業の酒屋さんにとって強烈な逆風は吹き止む気配がありません。魚屋さん、肉屋さん、金物屋さん、八百屋さん・・・が早晩町から姿を消して、残るのはチェーン展開する大手総合スーパーだけになってしまうのでしょうか。そんなことにならないように、<碇屋酒店>のような気骨のあるお店をこれからも応援するつもりです。