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絵看板の鳥居清光さん逝く

歌舞伎座正面を挟んで両脇にあるのがおなじみ絵看板です。そこには昼夜の演目ごとに主な登場人物が描かれていて、歌舞伎ファンにとって歌舞伎座入場前にこの絵看板を眺めることは謂わばルーティンなのです。友人知己と観劇する場合は、絵看板前が格好の待ち合わせ場所でもあります。今朝、新聞でこの絵看板を手掛ける鳥居清光さん(享年83歳)が亡くなったことを知りました。

歌舞伎座によれば、毎月書き下ろしで、上演中の「五月大歌舞伎」(28日まで)(写真下は第3部の絵看板)の絵看板も清光さんが描き、「六月大歌舞伎」(同3日初日)の絵看板も制作中だったそうです。

かなり前にはなりますが、松竹歌舞伎会会報誌『ほうおう』に掲載された記事を読むまで、ずっと男性絵師の手によるものだとばかり思っていました。芝居小屋の絵看板の歴史は元禄時代まで遡ります。清光さんは絵看板の伝統を受け継ぐ鳥居派9代目(1982年襲名)にして初の女性絵師でした。鳥居派の絵の特徴は「瓢箪足」に「蚯蚓書(みみずがき)」、初代清信の時代から変わらぬ描法だそうです。9代目は、東京藝術大学日本画を専攻、卒業後日生劇場のデザイン室に籍をおいた時期もあるそうですが、その後、鳥居派の技術習得のため父清忠に師事されました。清光さんが手掛けた色鮮やかで柔らかなタッチの絵看板は、歌舞伎座に欠かせない景色の大切なひとこまでした。衷心よりお悔やみ申し上げます。