我が家のお雑煮&郷土色溢れるお雑煮あれこれ

NHKの「美の壺・選」を録画して、深夜に気になるタイトルを視聴しています。「美の壺」と題するからには、絵画や陶芸など専らアートが取り上げられそうなものですが、豈図らんや番組の守備範囲は広く、衣食住を彩る美のアイテム全般が対象になっています。出演者は草刈正雄さん、語りの木村多江さんとの掛け合いが愉快な、美しく暮らすためのヒントが満載された番組です。15年続く長寿番組で放送は500回を超えるのだそうです。

先週は、歳の瀬にふさわしいタイトル「新年を祝う 雑煮」(File433)が放送されました。宮中儀式に遡るお雑煮の起源(花びら餅)やご当地お雑煮のあれこれなど、実に興味深い内容でした。12月上旬、鹿児島・指宿の白水館に宿泊したとき、仲居さんから「焼き海老でお出汁を取るのが鹿児島流のお雑煮」だと教えてもらいました。番組で紹介された仙台の「焼きはぜ雑煮」はいたく食欲をそそられました。学生時代、高知出身の友人から「あん餅雑煮」を食べると聞いたときは、かなり驚きました。甘いお雑煮はちょっと無理かも・・・。食いしん坊の性で、番組に登場した主婦たちのように、出身地の異なる友人同士を招いてお雑煮パーティを企画してみたくなりました。

古くからのしきたりを大切に守って次の世代に伝えようとする京都人の意気に感じ入りました。京都では、男性は「総朱」、女性は「女紋」の入った「黒内朱」の雑煮椀を使うのだそうです。京都のお雑煮と言えば甘い白味噌ベース。具には里芋、雑煮大根、金時人参などが入ります。お餅も具材も全部丸く切るところが京都流、家族円満で物事が丸く収まるようにとの願いが込められています。親芋(かしらいも)を使い、かしらになるようにと願うなど、具材ひとつひとつにも新年の願いが込められています。八坂神社から持ち帰った種火「白朮(をけら)火」を用いてお雑煮を作ると、その1年、無病息災で過ごせると云い伝えられています。

さて、我が家のお雑煮はというと至ってシンプル、江戸のお雑煮に近いものになります。茅乃舎だし(あごだし入り)で出汁をとり、具は紅白の蒲鉾にほうれん草が入るだけ、お餅は少し炙った切り餅になります。お雑煮の上に海苔とかつおぶしを振りかけるのが我が家流です。お箸は柳の木で作られた「祝い箸」、三が日は同じお箸を使っています。家族が集まるお正月くらいは、こうした伝統的な風習を守って、子供たちに伝えていきたいと思っています。