「たいめいけん」移転を前に<タンポポオムライス>を頂きました!

昭和6年創業の日本橋1丁目の洋食屋さん「たいめいけん」が来る10月19日(月)を以て、新店舗移転のため、しばらく休業されるのだそうです。イートインでしか「たいめいけん」を利用したことがないという家内と一緒に、久しぶりに名物「タンポポオムライス」を頂くことにしました。

連休3日目、案の定、15名前後の行列が出来ていました。行列を外れて数組が少し価格設定の高い2階へ向かったため、30分ほどの待ち時間で店内に案内され「タンポポオムライス」にありつけました。ここで働いて40年になるという女性スタッフ曰く、日本橋再開発に伴い、自社ビルを売却し向こう5年ほど日本橋室町の仮店舗で営業を継続されるということでした。年内にはビルは取り壊されるのだそうです。その昔、近所のN証券子会社N常務によく「たいめいけん」で特製ランチを御馳走になったものです。懐かしい思い出の詰まった老舗洋食レストラン「たいめいけん」の建物が取り壊される前に、たまたま近くを通りかかったのも、虫の知らせだったのでしょう。

名物「タンポポオムライス(伊丹十三風)」は、伊丹十三監督の映画『タンポポ』(1985年)に登場する乞食が子供にオムライスを作ってあげるシーンに由来します。「オムライスはオム(卵)とライスに分かれているのに、卵とご飯を一緒にするのはおかしい」とする伊丹監督のこだわりを忠実に再現したのが、「たいめいけん」特製「タンポポオムライス」というわけです。映画『タンポポ』は売れないラーメン屋を立て直す話がメインですが、食に纏わる様々なエピソードもあまた散りばめられていて、「タンポポオムライス」はそのひとつです。

メインの「タンポポオムライス」を注文して提供されるまで15分余り。その間、50円という破格の値段で提供されているこれまた名物のコールスロー(coleslaw)とボルシチを注文して空腹を凌ぎました。サイドメニューの天下一品・ボリューム満点という修飾は決して誇大広告ではありません!コールスローは、キャベツにタマネギとニンジンだけを使ったシンプルなレシピながら、冷やされて酢となじんだ味が絶品です。我が家では、コールスローは「たいめいけん」レシピと決まっていて、ビネガーはリンゴ酢を使ってコーンを加えることにしています。


↑自家製コーン入りコールスロー
そうこうするうちに、「タンポポオムライス」が運ばれてきました。卵を3個使った大きなプレーンオムレツがチキンライスを覆っています。数秒眺めたら、躊躇なくプレーンオムレツにナイフを入れます。するとトロトロの中身があっという間にチキンライスの上に拡がります。プレーンオムレツに見とれてしばらくナイフを入れるのを躊躇っていると、トロトロの中身が固まりはじめこうはなりません。ケチャップでしっかり味付けされたチキンライスはまさに王道、プレーンオムレツとのコンビネーションは職人芸の極みです。こればっかりは素人には再現不能です。別にケチャップが添えられているので、途中からトッピングして濃い味も楽しみました。

周囲を見渡すと、8割方のお客さんは「タンポポオムライス」を注文していました。タンシチューやビーフシチューにも食指を動かされましたが、今回は「タンポポオムライス」でお腹一杯でした。名残惜しいので、日本橋の「たいめいけん」を、閉店までにもう一回訪れようと思っています。