お世話になった懐かしき「大学受験ラジオ講座」

9/2付朝日新聞夕刊に、大学受験勉強中にお世話になった「大学受験ラジオ講座」(以下:「ラ講」)に関する記事が掲載されていました。1952年に始まり95年まで続いていたと知って吃驚。

寄稿者の姫野カオルコさんは「テーマ曲のブラームス『大学祝典序曲』を聞くと、青春の夜がよみがえります」と述べています。まったく同感です。同時刻に全国の高校生が聴講しているという目に見えない連帯感が大きな支えでもありました。勇ましいテーマ曲のお蔭で眠気が吹き飛んだ夜も数え切れません。

一番熱心に聴いていたのは寺田の数学でした。過去問を中心に解法を説く「ラ講」は頗る実践的で、1問片付ける度に「はい、これで〇〇大学合格!」という寺田先生の力強い言葉にずいぶん励まされました。寺田の鉄則は実際の受験で真価を発揮してくれました。この記事で当時の記憶が喚起されたわけですが、1回24分半だったのですね。講師の肉声だけの方が、却って集中力を昂めてくれたように思います。

当時、「ラ講」の効用に至って鈍感でしたが、思えば有名予備校や塾は大都市に偏在していて、学びの地域格差を解消しようという旺文社創業者の赤尾好夫氏の狙いは誠に時宜を得たものでした。

「元祖リモート教育 DNAは今も」という大見出しに大きく頷いてしまいました。コロナ禍で大学に通えない不便など、スマホ世代には幾らでも克服する術があるはずです。どんなに便利になった今でも、深夜独りで聴くラジオへの郷愁は人一倍強いと自負しています。