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最新エクシブ客室稼働率ランキング(2020年)からRT社の今後を占う

Go To トラベルキャンペーンの迷走に加え、長梅雨の影響でこの7月の4連休は観光地どこも閑古鳥ではないでしょうか。今年の国内旅行消費額が前年比20兆円減少するという予測もいよいよ現実味を帯びてきました。たまたまリゾート会員権を所有しているので、梅雨が明けたら、特別給付金は専ら国内旅行に充てていこうと考えています。といっても給付額は10万円ですから1回で使い切ってしまうことになるでしょうが・・・。

最新エクシブ客室稼働率ランキング

ここで会員権ホルダーとして気になるのが、積極的な施設展開で会員数を増やしてきた東証一部上場企業リゾートトラスト株式会社(以下:RT社)の今後です。早速、2020年3月期の有価証券報告書を基に、エクシブ客室稼働率ランキングベスト5をまとめてみました。いわゆる離宮シリーズ(2006年竣工の八瀬離宮が先駆け)がオールドエクシブに対して圧倒的に利用されていることが分かります。5位に食い込んだ那須白河は、東北唯一の施設でゴルフ場を併設しているだけに予約の取り辛さは実感するところです。車を利用すれば磐梯や仙台など周辺に見どころが多いので納得のランクインです。5年前と比べて稼働率がアップしているのは那須白河だけでしょう。

1位 有馬離宮 78.7% (前年80.5%)(5年前92.1%)

2位 箱根離宮 74.8% (前年80.1%)(5年前89.3%)

3位 八瀬離宮 71.7% (前年74.7%)(5年前85.3%)

4位 湯河原離宮 69.3% (前年70.5%)(5年前 N/A)

5位 那須白河 66.1% (前年62.9%)(5年前60.8%)

番外 東京ベイコート 48.3%(前年52.7%)(5年前53.2%)

エクシブ全体稼働率:48.0% (前年50.1%)(5年前54.0%)
収容能力対比実績率:29.0% (前年30.4%)(5年前32.6%)

上述施設以外の稼働率は軒並み50%を下回り、SVやムセオ・パセオといった比較的新しいアネックスを併設する軽井沢ですら46.2%というのは驚愕です。2015年3月期と比べると稼働率の中期低下傾向は顕著で6ptも低下しています。離宮シリーズですら、5年前に比べると稼働率は10pt以上落ちています。言い換えれば、飽きられ顧客離れが進むということです。去年は大型台風による稼働率悪化が災いし、今年は3月に入って新型コロナ禍ですから、通年稼働率は30%あたりまで急低下する可能性も否めません。稼働率ワースト1位(28.3%)の伊豆、30%前半の初島・淡路島の営業再開は7/1ですから、老朽化が進めばいずれクローズしてしまうのかも知れません。さらに、収容能力対比実績率(5人収容可能なのに2人しか泊まらなければ40%)は29%(前年30.4%)まで低下しており、エクシブ自慢の豪華で広い客室が持て余される結果になっています。辛辣な物言いになりますが、「無駄に広い」ということです。稼働率の低下もさることながら、収容能力に見合う客室利用がなされていない点も気懸かりです。

RT社は、2015年にエクシブの客室利用料を7~8%に引き上げ、料理も10%値上げしています。サービスの全体的なクオリティが向上すればまだしもさにあらず、既存会員にはまったく嬉しくない値上げでした。値上げから5年経った2020年3月期のセグメント別営業利益率がどうなったか、見てみることにしましょう。

会員権販売事業:34.8%

ホテルレストラン事業:0.1%

メディカル事業:19.3%

圧倒的に会員権販売事業が稼いでいます。開業が9月下旬に延期された横浜ベイコート倶楽部(写真下)の会員権販売も好調のようです。近年、これを急追するメディカル事業は、高齢化するオーナーのヘルスケアニーズを巧みにとらえた点でいい着眼だったと思います。一方、2020年3月期のホテルレストラン事業における営業利益率はわずか0.1%、前年比96.5%のマイナスでした。近年相次いだベイコート開業のお蔭でRT社のボトムライン利益は一時的に押し上げられてはいますが、三大都市圏のRT社施設は飽和状態、明らかに頭打ちです。湯河原離宮の会員権販売不振は象徴的です。残念なことに、東京五輪に照準を定めた高級ホテルカハラ横浜の開業は大誤算でした。コロナ終息まで1年或いはそれ以上、外国人宿泊客が見込めない以上、赤字垂れ流しは目に見えています。いずれ、横浜ベイコートのアネックスにして新会員権を売り捌くか、米系ホテルチェーンに売却するなど抜本的なリストラ策を講じないかぎり先行きは真っ暗です。

RT社の問題点とこれから

これまでのRT社の稼ぎ方は、ともすればヒット&アウエィ。会員権販売後のオーナーに対するアフターケアは決して満足いくものではありません。ホテルレストラン事業の不振はそれを象徴しています。かつては施設担当者からよく電話が入りましたが、今はまったく音沙汰がありません。ホーム(所有する会員権施設のこと)で誰が担当者なのかも定かではありません。

レストランではジャンルにかかわらず全体的にコース価格の高騰が顕著です。離宮のメニューで1万円以下のコースはほぼ見当たりません。勿論、価格に見合った料理のクオリティとサービスが享受できれば問題ないのですが、東京の平均的なミシュラン星付きレストランと比べても、かなり見劣りがします。料理やワインの説明も稚拙で10%のサービス料は割高に感じます(新人さんの研修機会にされているようなときもあります)。エクシブのサービスは見た目の施設の豪華さと常に不釣り合いなのです。専門的なスキルや知識を欠いたサービススタッフが散見されるせいでしょう。

オーナーの満足度調査を少なくとも1年に1回行いサービス向上に努めないかぎり、RT社の将来はじり貧でしょう。同業の星野リゾートは徹底してCS(Customer Satisfaction=顧客満足度)を重視する戦略で成長を遂げてきました。アフターコロナを乗り切り、RT社がさらなる発展を遂げるためには、行き届いていない点に真摯に目を向けていくしかありません。

今後、目先の利益を上げるために施設数を増やしたとしても、新施設の稼働率が跳ね上がるだけで、古い施設は見向きもされなくなるでしょう。既存施設全体の稼働率を向上させることは容易ならざることです。最も気懸りなのは、竣工後20年以上経過したオールドエクシブのリノベーションを今後どのような形で実施していくかということ。仮に建て替えなければならない時期が到来したとして、当該オールドエクシブ会員の4/5の賛成が得られるのでしょうか。管理組合が存在しないので、老朽化マンションの建て替えよりもハードルは遥かに高そうです。

この先10年を見据えた場合、メディカル事業に注力するのは善しとしても、既存施設の稼働率を少しでも向上させるには、先ず《会員様をはじめとするお客様に寄り添い「会員制の基本」に立ち返る》・《「人の手」によってしか提供できない「ホスピタリティ」の希少性を重視する》など、有価証券報告書13頁に記載しているようなマニュフェストを地道に実行に移していくことです。