今日は「土用の丑の日」〜ニホンウナギ絶滅危機は続く〜

今年の「土用の丑の日」は7月21日の今日と8月2日です。こうしてウナギの季節がやってくる度に、「土用の丑の日」をおさらいしてしまいます。

「土用」とは、暦の上で「立春立夏立秋立冬」のそれぞれ直前の18日間(19日間の場合も有り)のことをいいます。年に4回ありますが、一般的には夏の土用(立秋の直前)のうち十二支が丑の日を「土用の丑の日」と呼んでいます。干支の「丑年」が12年周期で回ってくるのと同様、「丑の日」も12日ごとにあるというわけです。

異常気象続きで、この数十年で季節感という歯車が完全に狂ってしまったように感じます。現に、東京では6月30日から7月18日まで19日間連続降水。アメダス観測史上最も長い記録だそうです。おまけに14日から18日まで都心の最高気温は5日連続の25℃未満、1993年の大冷夏以来の低温記録だというのです。梅雨明けは8月まで持ち越しになりそうな塩梅です。太陽がジリジリ照りつけないと「土用の丑の日」といっても、気分が盛り上がりません。夏バテ防止にウナギ(「ウ」のつくものなら何でもいいという説も有力です)というピーアールは今年にかぎっては空振りです。

そんなわけで今日は殊勝にもウナギを頂くのは遠慮しようと思います。国際自然保護連合(IUCN)の最新評価によれば、ニホンウナギ個体数は過去3世代(24年間)で少なくとも50%減ったと推定されるのだそうです。2014年、ニホンウナギはIUCNから絶滅危惧種に指定されていますが、依然厳しい状況が続いています。ニホンウナギの生態は謎だらけなので、個体数を増やそうにも完全養殖のハードルは極めて高いのです。

今、我々が口にしているニホンウナギの99%は、河口で捕獲されたシラスウナギを養殖したものです。シラスウナギ(孵化して仔魚を経た稚魚)の乱獲を避けるなど根本的な対策を講じないかぎり、「土用の丑の日」にウナギを食べるという食文化を維持することは極めて難しいでしょう。こうした危機的状況に鑑み、ウナギ好きは年がら年中ウナギを食べたいという欲求を抑え込まねばなりません。その点、昨今の若者のウナギ離れは大歓迎です・・・。

意固地と言われようがワガママと罵られようが、「土用の丑の日」にウナギの蒲焼を食べたいという衝動だけはこれからも抑えられそうにありません。