NHKスペシャル「激震コロナショック 経済危機は回避できるか」〜今後のマインドセットを考えてみた〜

◎2月前年同月比訪日外国人数-58%
◎3月上旬デパート売上最大-43%
◎自動車大手6社一時生産中止

3月28日(土)の掲題NHKスペシャルは異例の生放送、タイムリーな企画番組でした。この週末は、首都圏でも<不要不急の外出>は自粛するようにとの自治体勧告影響で、桜は見頃を迎えているというにの、出足を封じられました。新聞で上野恩賜公園の通り抜けが禁止された写真を見て心底驚きました。憲法第22条第1項で保障されている居住・移転の自由が制限されようとはまさに未曾有の事態です。そして、日曜日の今日、暗雲垂れ込める今後を占うかのように、東京は早朝から季節外れの大雪に見舞われています。

世界経済に与える影響はリーマンショックを遥かに超えることは間違いなさそうです。この数日で米国の感染者数は急増、27日に10万人を超えました。トランプ大統領が矢継ぎ早に発表した240兆円規模の経済対策は、新型コロナ禍の深刻さを浮き彫りにした恰好です。26日に米労働省が発表した新規失業保険申請件数は過去最大の328万件に急増、好調な経済に支えられた米国の消費需要が一気に冷え込むリスクが増大しています。

前倒しになった16日の日銀政策決定会合後の記者会見で、黒田日銀総裁は景気の先行きについて「一定期間、低成長が続く恐れがある。ただ、それがリーマン・ショックのようになるかと言われると、現時点では そういう風には見ていない」と述べていますが、状況判断はあまりにも楽観的で今となっては完全な見立て違いです。

1929年に始まり1930年代後半まで続いた世界恐慌以来の危機、というのが偽らざるところでしょう。物資や人の移動が止まり、ボーダレスエコノミーは正念場を迎えています。世界の工場は中国、44年ぶりに中国の経済成長がマイナスになる可能性も指摘され始めました。以前からチャイナリスクが世界経済影響に及ぼす影響は重要視されてきましたが、もはや中国一国の経済停滞にとどまるものではありません。グローバルネットワークは寸断から断絶に向かうのかも知れません。

日本企業の業績下方修正は今後ますます加速するでしょう。低いと言われる日本の食糧自給率は37%、産業界では「チャイナプラスワン」に基づき東南アジアにもサプライチェーンを拡大してきましたが、国内にもバックアップ生産拠点を設ける必要性が高まってきたように思います。

番組は極めて厳しい経済情勢を剔抉こそしてくれましたが、具体的な処方箋は何ら示してはくれませんでした。冷静に考えてみると、安定的な経済成長を前提するシナリオそのものを疑ってかかる必要がありそうです。今回の新型コロナ禍を教訓として、飽くなき繁栄を希求するマインドセットパラダイムを改め、低成長或いはマイナス成長を前提とした暮らし(ある意味ミニマリスト的暮らし)を模索する方が現実的ではないかと感じています。借金漬けの我が日本国政府の前例なき経済救済策に頼ること、即ち国家財政の破綻に繋がることを国民はそろそろ自覚すべきなのです。