幻のメーカーズディナー&イタリアワイン特別試飲販売会

「コロナショック」の影響で先月の建国記念日に予定されていたメーカーズディナーが急遽内容変更されました。来日するはずだったエノロゴ(醸造家)が渡航を断念したからでした。「コロナショック」の影響を身近に感じた最初の出来事でした。このイベントはイタリア・ヴェネト州からベルター二社のエノロゴ(醸造家)を招いて、同社製品の説明を聞きながら食事とワインを楽しむという企画。最寄りのT百貨店から案内が届いてすぐ夫婦で申し込んだくらいですから、意気込んでいたことは間違いありません。しかも、地元吉祥寺のイタリアレストランでの開催。エノロゴ不在となったのでやむなくキャンセルした次第です。幻のメーカーズディナー・・・近い将来、再度企画してくれたらと願っています。

この週末、T百貨店に出向いたところ、イタリアワイン特別試飲販売会なるイベント最終日だったので覗いてみると、ベルター二社のアマローネも堂々鎮座していました。イタリアを代表するワインと言えば、誰しもネッビオーロ種だけから造られるバローロ(王のワイン)やバルバレスコ(イタリアワインの女王)が真っ先に思い浮かべそうですが、個人的には甘美で妖艶な味わいで知られるアマローネが一番好みです。陰干ししたブドウを発酵させる伝統的製法で生み出されるこのワインは稀少で、かつては王侯貴族しか口にできなかったそうです。ベルター二社は1857年創業の老舗。我が家のワインセラーで数本寝かせているMASI社のコスタセラ・アマローネ(2010)に引けをとらない、否その上を行くかも知れない「アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ・クラッシコ(2009)」を試飲させてもらいました。辛口でまろやか、グラスで飲んだらさぞやと思わせる味わいだった上、生産者のコメントには<約8年(2855日)の長期熟成を経てついにリリース!ここ10年で最高のヴィンテージ>とあります。アマローネDOCGの法定熟成期間は2年、2009年は素晴らしいヴィンテージの上4倍の樽熟成ですから申し分ありません。奮発して、1本買い求めました。

ブレンド比率は、コルヴィーナ・ヴェロネーゼ(80%) ・ ロンディネッラ(20%)となります。

地方公務員の職を辞してイタリアに渡りソムリエ資格を取得、イタリアワインの輸入代理店M社に就職したという代理店担当者とは話が弾みました。もうひとりのイベント担当のソムリエさんも熱っぽく各種イタリアワインの良さをアピールして下さいました。えーいとばかり財布の紐をさらに緩めて、ラ・スピネッタ社の”スタルデリ”バルバレスコ(2007)にも手を出してしまいました。同社のオーナー兼エノロゴ、ジョルジョ・リヴェッティ氏は、バルバレスコの名門にしてかのアンジェロ・ガヤの後継者とも言われます。サイがあしらわれたエチケットにも惹かれました。力強くまっすぐ進むサイに同社の未来を託したということでしょうか。見覚えのあるこのサイ、映画「ニューヨーク公共図書館」にも登場したルネサンス期のドイツの画家アルブレヒトデューラーが実際に見ないで描いたものでした。ジョルジョ・リヴェッティ氏は自らサイを買い求め、現在はロンドンの動物園にいるのだそうです。同社のバローロには同じくデューラーのライオンが描かれています。美味しいワインにそんなエピソードを添えて勧められると、ブロガーはイチコロなのです。

「コロナショック」で甚大な損害を被ったマイ・ポートフォリオ・・・のことをすっかり忘れて衝動買いしたことに帰宅して気づき、猛省しているところです。