冬の風物詩 | サントリーホールで聴く「メサイア」は極上でした!

来年創立30周年を迎えるバッハ・コレギウム・ジャパンBCJ)による「メサイア」演奏会が、昨夜、サントリーホールで開催されました(2019年12月23日)。この演奏会は今年で19回目を迎えるそうです。「第九」と並ぶ冬の風物詩、ワールドクラスと言われるBCJの「メサイア」をクリスマスシーズンに聴くという夢がようやく叶いました。客席はほぼ満席、耳の肥えたリピート客が多いように感じました。

「音楽の母」と呼ばれるヘンデル(1685-1759)の代表曲「メサイア」(HWV.56)は、3部構成で演奏時間は2時間半という大作。第2部最終曲の「ハレルヤコーラス」を知らない人はいないでしょう。ヘンデルはこの大作を24日で書き上げたと言われます。ヘンデルと同じ1685年生まれのバッハが生まれ故郷を離れなかったのに対して、ヘンデルはイタリア各地を巡った後、1727年2月にイギリスに帰化することになります。1723年にロンドンのBrock Street 25に居を構え、死ぬまでそこで過ごしたそうです。ロンドンの聴衆を必ずしも満足させることが出来ないでいたヘンデルが台本を書いたC.ジェネンズの勧めで取り組んだオラトリオ「メサイア」は、1742年4月13日にダブリンで初演され、大喝采を浴びることになります。ロンドンでも次第に支持者が増え、経済的にも逆境にあったヘンデルはこの成功で一躍時の人となります。

今回の演奏会パンフレット(写真下)には英語の歌詞がすべて掲載されているので、第1部から第3部までの流れは一目瞭然です。マエストロはBCJを率いるス鈴木雅明氏。白髪なので70代に見えなくもありませんが、1954年生まれの65歳。エネルギッシュな指揮ぶりが強く印象に残りました。管弦楽団の背後の合唱団は男性女性それぞれ9名、一糸乱れぬハーモニーを奏でてくれました。第2部最終曲「ハレルヤコーラス」は合唱団とソリストの共演、鳥肌が立ちました。ロンドン初演の際、国王ジョージ2世が立ち上がったという逸話がありますが、7列目だったせいか立ち上がった人は目に入りませんでした。

海外から招聘したソリスト4人のなかでは、表情豊かで澄明な声色のソプラノ、ジョアン・ランとバスのロデリック・ウィリアムズが秀逸でした。第3部の聴きどころは、トランペットが登場する歌詞42のバスによるレチタティーヴォ(イタリア語で叙述的独唱のことです)から歌詞43になります。ゲストトランペット奏者ギ・フェルベが手にする長尺のバロック・トランペットの音色とロデリックの重低音バス(The trumpet shall sound,・・・”)とのコラボは最高でした。

20分間のインターミッションも含めた約3時間はあっという間でした。夢のような時間でした。鳴りやまない拍手のなか、アンコールはマエストロの息子鈴木優人さんアレンジのノエルメドレーでした。来年はクリスマスイヴの24日公演(@サントリーホール)がすでに決まっています。先立って軽井沢大賀ホールで開催される「メサイア」にも惹かれますね。BCJ創立30周年の来年は、どちらかの会場へ妻を伴って行くとしましょうか。