シニアの難聴はなぜ認知機能の低下を招くのか?

2019/9/21付け朝日新聞週末別刷りに「シニアの難聴は認知症リスク」と題する記事を見つけました。そう云われれば、ボランティア仲間の後期高齢者だけではなく、かつての職場の先輩でエベレスト以外の6サミッツに登頂したようなアクティブ・シニアまでが難聴に陥っていて、コミュニケーションがとりにくくなっています。こうした身の周りで実際に起こっている日常生活の不便が、認知症リスクしかも最大のリスクだという現実はあまり知られていないように思います。

なぜ、難聴が認知機能の低下を招くのか、素人でも分かり易く説明されているので、ご紹介しておきます。

①カスケード仮説

耳から入ってきた音は鼓膜から聴覚の神経を通じて、脳で処理される。耳から入る音の「入力」が減ると、聴覚の神経の活動が低下。それが脳の神経にも影響し、認知機能の低下につながるというもの。

②認知負荷仮説

耳から入ってきた音の処理と、認知的な作業の負荷のバランスが変化するというもの。聴覚の負荷が大きくなると、その処理が重視されるため、認知的な作業に割く「資源」が少なくなってしまうという考え方。

いずれも説得される仮説です。加えて、耳垢が溜まっている高齢者も要注意。耳垢も大敵だそうです。有効な対策のひとつは補聴器を使うこと。視力が落ちればメガネをかけるのに、耳が聞こえにくくなっても補聴器に頼る人はまだまだ少ないようです。記事によれば、2018年度の国内補聴器出荷台数は58万台。メガネがかける人の視力に応じて調製されるように、補聴器も普及品からテーラーメイドまで各種取り揃えられています。補聴器メーカーはPHONAK(スイス)やoticon(デンマーク)のような海外勢が世界的シェアを握っていますが、国内シェア1位のリオン株式会社(東京都国分寺市)の補聴器リオネットは、日本の風土や日本人の耳に即した製品だと云われています。

外からでは分かりにくい難聴という病気、用心に越したことはないようです。