「れいわ新選組」への期待感

発足(2019年4月)直後の参議院選挙で比例区228万票(有権者全体の2%に相当します)を獲得し2議席を確保した「れいわ新選組」。いつものことで、メディアは選挙が済めばダンマリを決め込みます。熱しやすく冷めやすいメディアのこの体質、何とかならないものでしょうか。選挙中に、メディアが「れいわ新選組」の生み出したうねりに関心を寄せ、もっと報道してくれていたら、得票数はさらに伸びたに違いありません。新興政治勢力に冷淡なメディアの体質は、ただでさえ有利な既存政党をさらに利することになります。カウンターメジャーとして、SNSを通じて有権者に訴え続け、約3万3千人から4億円もの個人献金を集めた草の根選挙活動には脱帽です。

毀誉褒貶の激しい代表の山本太郎氏が「脱原発」を掲げ俳優から政治家に転身すると、テレビ局のスポンサーには総スカンを喰らい、存在感を奪われていきました。そんな逆境に凹むことなく、「最低賃金1500円」・「消費税廃止」・「奨学金チャラ」・「保育・介護・障害者介助、事故原発作業員らの公務員化」などなど、貧困層に照準を当てた公約は至極真っ当で共感できるものばかりです。HP上に掲載されている簡潔に政策を記したバナーもキャッチーで訴求力抜群です。実現可能性を疑問視する向きもありますが、庶民のための経済政策を推進したいという意気込みは、今後の党勢拡大でブレーンに有能な人材が集まれば、少しずつ形にしていけるのではないかと思わせます。

国会に難病ALSの患者ら重度障害者を送り込んだ「れいわ新選組」の発想は革命的だと思います。こうした候補者が「人寄せパンダ」ではないかという声に「ポピュリスト上等」だと応じた山本太郎氏の開き直りもお見事です。選良として何不自由な暮らす大多数の国会議員の館(やかた)に、介助が必要な人間を送り込むこと自体に大きな意義を感じます。参議院で早速バリアフリー化が進んだのも大きな成果です。初当選を果たした重度障害を抱える舩後・木村両議員の登院姿を目の前にして、声高に叫ばれる障害者福祉という言葉がいかに空虚なものか、有権者も議員も実感したことでしょう。それでも、なお、参議院議院が介助費用(現状、就労時や通勤時は使えない「重度訪問介護」)を負担することを決めれば、これをよしとしない勢力(日本維新の会など)が議員特権だと非難の矛先を向けています。この勘違いはどこから生じるのでしょうか。

無党派層の10%が支持したという「れいわ新選組」へのエールが大きく拡がっていくことは、大局的に見て、既得権層を優遇しがちな保守政治への効果的な牽制となるはずです。厚労省の調査(2015)によれば、日本の貧困率は15.7%、7人に1人が貧困状態にあるそうです。全世帯の15%が貯蓄0。こうした社会的弱者の声を掬い上げてくれる数少ない存在が「れいわ新選組」だったというわけです。

山本太郎氏は自らの議席を投げだし、参議院に特定枠で擁立した重度障害のある先の2人を送り込みました。党代表がバッジをつけないという手はありません。10月の参議院埼玉選挙区補欠選挙、来年の東京都知事選、次期衆院選など「すべての選択肢を排除しない」と述べた政界の風雲児こと山本代表率いる「れいわ新選組」のこれからに期待を寄せています。