「神田きくかわ」日比谷店で特撰丼を頂く

週末、出光美術館を訪ねる度に帝国劇場B2の神田きくかわ日比谷店に足を運びます。大抵、その日は日曜日でお店の休業日、お店の前に来て気づくというマヌケぶりを重ねています。昨日は幸い土曜日で、実に久しぶりに、日比谷店の鰻丼にありつけました。注文したのは「特製丼」(1日限定35食だそうです)。税抜き4450円でした。なんとリーズナブルなお値段。ご飯は大盛りに出来ると聞いて、そうしました。しばらくすると、お膳と共に大きな丼に肝吸いと香の物が運ばれてきます。そのボリュームたるや予想以上で、思わずニンマリしてしまいました。蓋を開けると、見るからに身も厚く脂がのった鰻が三切れ、その下のご飯を覆いつくしています。老舗きくかわのこだわりだそうです。

早速、頬張ると、これがふっくらして絶品なのです。香りやタレの甘さ(レンゲの蜂蜜を使っています)も文句なし。背開き⇨白焼き⇨蒸し⇨タレをつけて再び焼きという江戸前プロセスを忠実に守っているだけではなく、産地直送の鰻はいったん用賀ICに近い上野毛店の「立て場」で地下水に潜らせ1〜3日休ませて、各店舗に使用される日に配送されます。そうすると、身が引き締まるのだそうです。この日は、同伴妻の実家に近い三河一色産の鰻でした。納得の旨さでした。テーブルに置かれたタレを丼に追加できる点も気に入りました。かれこれ7〜8年余りご無沙汰でしたから、供された丼に新鮮な驚きさえ感じました。お店の雰囲気も昔と変わらず、店員の接客も合格点!ほかの店舗を知らないだけに、アクセスのいい日比谷店はこれからも健在であって欲しいものです。

レジを済ませて、振り返ると、初老の男性がひとり、またひとりと暖簾をくぐっていきます。鰻好きはこうでなきゃと内心つぶやいてしまいました。今度はひとりで来ようとも。気懸りなのは、夏場の鰻不足。レジ脇のポスターを読んで、近い将来、鰻が食べられない日が来るかも知れないとあらためて危機感を募らせたのでした。今のうちに食べ尽くしてしまおうと、独り善がりの煩悩が頭をよぎりました。