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一幕見席で観る「祇園祭礼信仰記 金閣寺」


先週末は、知人が上京、一度歌舞伎が観てみたいというので9:30過ぎから切符売場に並びました。すでに30人ばかりが待機していましたが、一幕見には椅子席が90席ありますから、切符売出の1時間前に歌舞伎座へ足を運んで正解でした。一幕見席のセンター左に席を確保、開演まで近くのプロントでアイスコーヒーを飲みながら小休止。

初めて歌舞伎を観る人には、筋書きが分かりやすく、かつ、舞台が華やかな演目をお勧めします。その点、<秀山祭九月大歌舞伎(昼の部)>最初の演目、「祇園祭礼信仰記 金閣寺」(4段目)は、桜花爛漫の金閣寺が舞台ですからうってつけでした。上演時間も1時間半あるので、一幕見乍らじっくり舞台を堪能できます。

天下取りを企む松永大膳に捕らわれ金閣寺に幽閉されるのは、足利将軍の母慶寿院(福助)と雪舟の孫娘雪姫(児太郎)。そこへ智謀を備えた此下東吉(梅玉)が大膳に仕官を申し出て、大膳の無理難題を見事に解決し召し抱えられます(「碁立」)。その狙いは慶寿院の救出でした。

中盤は、桜の木に縛りつけられた雪姫が、桜吹雪の下、足で集めた花弁で鼠を描くと、白鼠が二匹現れ縄を喰いちぎって雪姫を解放します。姫は夫の元へと急ぎます。終盤を迎えると、舞台中央の金閣寺がセリ上がり、東吉は最上階に幽閉された慶寿院を救出。再びセリが下がると、槍を振り回して激怒する大膳が現れ、東吉と大膳のふたりは戦場での再会を約して幕切れとなります。

豪華絢爛な舞台を妖艶な所作で彩る児太郎の雪姫は実に見応えがありました。「三姫」のひとつに数えられる難役を初役とは思えない繊細な表現で見事に演じ切ってくれました。尾上松緑(四代目)の演じる大膳は全身から力が漲り、客席の隅々まで朗々と響く台詞回しは絶品でした。これに対して、梅玉の此下東吉は最初から最後まで弱々しい印象、おまけに声が小さくてが4階席まで届かないのでガッカリさせられました。こうした瑕瑾こそあれ、「金閣寺」はまた見てみたい演目です。