2018年ウィンブルドン・初のベスト8を達成した錦織圭選手


W杯ロシア大会が終盤を迎えるなか、2018年ウィン4ルドン選手権が開幕、第2週に入りました。2014年、全米で準優勝し翌年3月に世界ランキング4位まで登りつめた錦織には、グランドスラム制覇への期待が膨らむばかりです。自分も強い期待を抱くファンのひとりです。2017年後半以降、故障から錦織は長期間戦線離脱していただけに、今年のウィンブルドン選手権初のベスト8入りは錦織自身にとって待望の勲章でした。10度目の挑戦を経ての錦織のラストエイトクラブ入り、ウィンブルドンの壁の厚さをあらためて思い知らされます。

というのも、これまで4大大会で通算7回QFに進みながら、唯一ウィンブルドンだけベスト8入りを逃してきたからです。おまけにウィンブルドンは1877年に始まった世界最古のテニストーナメント、4大大会で最も格式の高い大会なのです。伝統と格式の象徴は、ユニフォームにドレスコードが存在すること。”Predominantly White”と呼ばれるもので、ウェアのみならず、シューズ、ソックス、ヘアバンド、リストバンドに至るまで白の着用が義務づけられています。しかも試合会場だけではなく、練習場でもこのルールがアプライされます。ほかにも、ミドルサンデーを設けたり、芝コートの大会成績を加味した独自シード順位を適用するなど、いかにも聖地ウィンブルドンらしい大会運営が特徴です。

過去の錦織のウィンブルドンの成績を振り返ると、途中棄権も多く、芝(グラス)のコートに相当手こずってきた印象があります。ウィンブルドンは天然芝、ハードコートクレイコートに比べ、ボールのスピードが速く高く弾まない上に、不規則な動きをするのでビッグサーバーに有利なコートといえます。錦織の身長は178センチ、持ち味は軽快なフットワーク。その強みが、球速が速く滑りやすい芝では活かされにくいのです。

4回戦までの対戦相手はいずれも侮れない選手ばかりでした(下記参照)。しかも、2回戦以降は、すべて身長190センチ以上の選手でした。ちなみに、キリオスは初戦で42本のエースを決めています。

1回戦 ハリソン(米) 178センチ
2回戦 トミック(豪)195センチ
3回戦 キリオス(豪)193センチ
4回戦 ガルビス(ラトビア)190センチ

「たいていのヤツは触ることもできないのに」と錦織を讃えたキリオスの言葉が、錦織の好調ぶりを象徴しています。ベースラインに踏みとどまり、ネットプレイを自制する錦織のプレイスタイルは、入念な芝対策の証でしょう。次は天敵ジョコビッチ、難しい試合になること必定ですが、12連敗に終止符を打って優勝に近づいて欲しいと切願しています。