神代植物公園2018年春〜殿堂入りバラと香るマークに注目〜

地球上に存在する植物の数は判明しているだけで20万種とも30万種とも云われます。そのなかで、次々と新しい園芸品種が生み出されるバラは特異な存在ではないでしょうか。その数、2万種とも3万種とも。その上、3年に一度世界バラ会議が開かれ「殿堂入り」バラが選出されます。バラ以外にこれほど愛される花を知りません。「殿堂入り」バラは、世界中の様々な生育環境でも育てやすくかつ普遍的な美しさをもつ品種が選ばれると云いますから、特別な存在でありながら身近で目にすることができるわけです。

我が家にも、2006年の大阪大会で「殿堂入り」した「ピエール・ドゥ・ロンサール」という名のバラが毎年美しい花を咲かせます。咲き始めはカップ咲、やがてクオーターロゼット咲に変化するところが気に入っています。神代植物公園では数か所で「ピエール・ドゥ・ロンサール」を見ることができます。

ほかにも「殿堂入り」バラを撮影してきたのでご紹介しておきます。

左は1988年シドニー大会選出の「パパ・メイアン」です。ビロードのような深い紅色が特徴的です。16品種ある「殿堂入り」バラのなかでも<薔薇>のイメージに最もフィットするような気がします。

神代植物公園のバラは約400種5200株。バラの前にはネームプレートがありますから、バラに詳しくない人でも作出年、作出国、系統をひとめで知ることができます。いつの頃からでしょうか、ネームプレートにおじさんが香りを嗅いでいるマークが付されていることに気づきました。バラを見ると芳香を確かめたくなりますが、すべてのバラが香るわけではありません。この「香るマーク」を頼りに、クンクンすると確かにいい香りが・・・・

香水の原料とされるのはブルガリアやトルコのダマスクローズ。香りのないバラは笑わない美人と云います。園内ではスマホや一眼レフで写真を撮っている人は数知れないのですが、香りを愉しんでいる人はそれほど多く見かけません。色や形だけではなく香りもあわせて愉しんでこそのバラ鑑賞だと、「香るマーク」の前で人目も憚らず香りを嗅ぐことにしています。