歌舞伎座のあとは中村藤吉本店銀座店へ


昨年4月、『GINZA SIX』に初出店した中村藤吉本店(京都府宇治市)、開業当初は長蛇の列ができていましたが、飽きっぽい日本人の習性でしょうか、最近は混雑もずいぶん収束してきたように思います。

最近は、歌舞伎座昼の部が跳ねた後、その足で中村藤吉本店(銀座店)に足を運ぶようになりました。いつも混雑しているデパ地下ではなく、VALENTINOやポール・スミスが同居するブティックフロアの4Fに店舗を構えている点が気に入っています。歌舞伎は幕間も含めると優に4時間を超える長丁場ですから、スイーツ女子ならずとも観劇後は甘いものが恋しくなるものです。


一番人気は「まるとパフェ[抹茶]」、最高品質の抹茶を使用し、白玉や小豆を幾層にも重ねたボリュームたっぷりの逸品です。店内を見渡せば、こちらを注文している女性が目立ちます。注文が済むと、先ず運ばれてくるのが急須とお茶(無料!です)、和みますね。個人的には甘みを抑えた絶品抹茶ゼリーを添えた小倉アイスが好みです。

中村藤吉本店の創業の地は宇治市。初代が1854年に創業、大正4年には天皇への献茶も行ったという老舗茶卸です。ところが、平成に入ると茶葉の売上げが減り廃業寸前まで経営は追い詰められました。1992年に卸問屋を継いだ6代目は抹茶ソフトを販売するという奇策に打って出ます。次第に口コミで評判となり廃業寸前だった店舗には活気が戻ったといいます。しきたりを重視する京都の同業者からは、一時「お茶屋をやめたぞ」と揶揄されたのだそうです。六代目はさらに挑戦を重ね、2001年に生茶ゼリイを完成させ、カフェをオープン。売上げは卸問専門だった社長就任時の10倍以上にまで伸長したのだそうです。

丸の内中通りには一保堂のカフェが軒を連ね、銀座に中村藤吉本店が進出。京都好きの東京人が都内の和カフェで至福の時間を過ごせるようになったことに感謝しきりなのです。