秋、赤い実をつけるナナカマドとコブシ

先月下旬、燧裏林道をトレッキングしたとき、樹林帯でしばしば目にしたのはナナカマド。登山道で見かける至極ありふれた樹木ですが、鮮やかな紅色と深緑のコントラストは秋の訪れを象徴する光景、自然と足が止まります。同行者のIさんが道々「ナナカマドの実は食べられるのかな?」なんて呟くので、気になって調べてみました。木の実の色は圧倒的に赤が多い!鳥が見つけ易く種子を他所で繁殖してもらうのに好都合だからです。自宅の庭でも、南天やセンリョウの実をヒヨドリメジロがあっという間に啄んでいきます。ところが、山道を鮮やかに彩るナナカマドの実は例外なく食い荒らされた感じがありません。人間も食べられないことはないようですが、試した人はかなり苦くて食べられた代物ではないと云います。微量ながら毒性もあるので、鳥の方は完熟して霜や冷気で毒気が抜けた頃合いを見計らって食べるのだそうです。自然の摂理は実に巧妙です。ナナカマドの名前の由来は、7回カマドに入れても燃え尽きない丈夫な樹木だから。身近な木でありながら、調べてみると知らないことばかりでした。とまれ、遭難したときナナカマドの実を食べて飢えを凌ぐことは無理だとはっきり分かりました。

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次に気になったのはコブシの実。早春に可憐な白い花を咲かせるコブシに似つかわしくないピンク色のぶつぶつした形状がコブシの実の特徴です。こちらも山道で何度か見かけました。淡いピンク色の実が幾つもくっついて集合果を形成しています。春先の花とは対照的に見た目は少し奇っ怪でグロテスクな印象を与えます。コブシは、その実が子供の「握り拳(こぶし)」に似ているところから命名されたそうです。こちらは食用に供されたことがあるようです。今度、見かけたら、思い切って味見してみようと思います。ある程度サバイバル登山を意識して、食用キノコや木の実の見分け方を学習しておくのも有益かも知れません。最後に、写真下はオオカメノキ、赤い実が秋色の深まりとともに黒く熟すというスイカズラ科ガマズミ属の植物、こちらは鳥の大好物なのだとか。

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