初冬の雲取山へ〜雲取山西暦二千十七年記念登山〜

東京都の最高峰はと聞かれて即答できる人はそれほど多くないのではないでしょうか。一方、登山に親しんでいる人なら知らない人は皆無に近いでしょう。東京都の最高峰は雲取山、標高は2017.13メートルです。2000メートル級の山が東京都に存在すると聞いて驚かれる方も少なくないかも知れません。雲取山は、中高年の登山ブームのきっかけを作った深田久弥の『日本百名山』にも登場する名峰のひとつなのです。

今年は西暦2017年、雲取山の標高と一致する珍しい年なので、東京都民としては登っておきたい・・・年頭にそう思いながら、とうとう忙しさにかまけて師走を迎えてしまいました。今年のTO DO LISTの未達成事項のひとつを片付けるべく、17日(日)に日帰り登山を敢行しました。ちなみに百名山で次に来るのは2034メートルの美ヶ原です。17年後ですね。

前日にJR奥多摩駅から徒歩3分の場所にある宿に宿泊、翌朝4時に起床して、車で駆けつけたボランティア仲間ひとりと合流、小袖乗越駐車場へ。50台しかない駐車スペースはすでにほぼ満車状態、自分のように滑り込み登山を目指す輩も結構いたのかも知れません。冬至の迫ったこの時期、日没は16時30分頃。日帰り登山を成功させようとすれば夜明け前の出発がマストです。

幸い、晴天に恵まれ、日の出を迎えると一気に眺望がひらけます。進行方向左手には雪化粧した富士山や南アルプスが臨めます。振り返れば、朝日を浴びて輝く相模湾まで見通せました。冬は大陸の乾燥した高気圧に支配されるため、空気が清澄になって山の尾根が遠くまで見渡せます。

途中、急坂も幾つかありますが、石尾根まで来れば、景色は申し分ありません。避難小屋が視界に入ってくると、俄かに雪空となり風花が舞いはじめました。避難小屋に到着し最後の上り坂を振り返れば、一面の銀世界。避難小屋の軒下の温度計は-5度を指しています。

荷物をデポって山頂へ向かうと、万華鏡のようにダイヤモンドダストが舞うではありませんか。急速に大気中の水蒸気が冷えたのでしょう、数分間、奇蹟の光景に見とれてしまいました。

冬場の登山は天気の急変に備え、勢い重装備になりますが、それと引き換えに静寂のなかこうした思わぬ体験ができたりします。帰路は仲間と別れ、JR奥多摩駅から最終のホリデー快速おくたま6号に乗車。週末運行のこの電車に乗れば、最寄り駅まで1時間15分。身近なところに素晴らしい大自然が存在することを再確認できた得難い山行でした。