いずれアヤメかカキツバタ?

5月5日は別名「菖蒲の節句」、我が家では菖蒲湯に浸かるのが恒例になっています。菖蒲が「尚武」や「勝負」に通じることから、江戸時代には端午の節句は男の子の節句として定着したそうです。

5日、武蔵野三大湧水地のひとつ三宝寺池を訪れるとカキツバタが見頃を迎えていました(写真下)。美しくて優劣つけ難いことを<いずれアヤメかカキツバタ>と云いますが、ショウブもアヤメも漢字を当てれば「菖蒲」、カキツバタこそ漢字は「杜若」で違えこそすれ、その区別は容易ではありません。花の背丈だけではなく細かい違いに着目して比較してみると、それぞれにパッと見では判別し難い豊かな個性があることに気づかされます。




先ず混同しやすい点は、菖蒲湯で使うのは「花菖蒲」ではなくて「菖蒲」の葉だということ。手元愛用の『花おりおり』にはこう記述されています。

<ショウブ サトイモ科>
端午の節句。現代では本物のサトイモ科のショウブを見るのは年一度、このショウブ湯の日だけになった感がある。梅雨時を彩るのはアヤメ科ハナショウブ平安時代は香気ゆえか、貴族の鬘となり屋根に葺かれた。

菖蒲湯の「菖蒲」の方はサトイモ科、おまけに花(写真右)は棒状で「花菖蒲」のそれとはまるで別物です。

こうなると、<いずれ、アヤメかカキツバタハナショウブ?>と云わないと正確ではありませんね。では、その違いはどこにあるのでしょうか。見分け方がいくつもありますので整理しておきます。

(生育地の違い)アヤメ(乾燥地)・ハナショウブ(半乾燥地・水湿地)・カキツバタ(水湿地)
(背丈)アヤメ(30〜60センチ)・カキツバタ(50〜70センチ)・ハナショウブ(80〜100センチ)
(花弁)アヤメ(根元に網目状模様)・カキツバタ(花弁根元に白い目型模様)・ハナショウブ(花弁根元に黄色い目型模様)
(葉脈)アヤメ(葉は細く葉脈が目立たない)・カキツバタ(葉は幅広で葉脈は目立たない)・ハナショウブ(葉脈ははっきりしている)

ほかにも開花時期で判断する手もあります。こうして見ると、際立った違いがあることが分かります。まじかで見ることが出来るのであれば、密標で区別するのが早道かも知れません。<文目(あやめ)、黄しょうぶ、白つばた(アヤメ、キショウブ、シロツバタ)>と覚えるのだそうです。