「有事の金」投資(1)〜ケインズの美人投票論が正しい〜


15日は故金日成主席の生誕105周年記念日ということで200人余りの外国人ジャーナリストが平壌に集結、北朝鮮のナンバー2、崔竜海(Choe Ryong-Hae)朝鮮労働党副委員長は同日、米国から核攻撃を受けた場合、北朝鮮も核攻撃で反撃する用意があると発言。これを受けて、トランプ大統領率いるアメリカ軍は米空母「カール・ビンソン」を中心とする艦隊を朝鮮半島近海に差し向けたと報じられています。朝鮮半島から遠いアメリカが直ちに脅威に晒される可能性は少なく、軍事衝突の巻き添えを喰らいそうなのは韓国と日本に他なりません。今朝も失敗したものの、北朝鮮はミサイルを打ち上げていますから米国挑発の勢いはとどまるところを知りません。

地政学的リスクが高まってる>なんて穏やかな言葉で形容している場合ではないように思います。狂犬同士のつばぜり合いですから一触即発の状況でしょう。そんな朝鮮半島情勢に加え、トランプ大統領はシリアへのミサイル攻撃、アフガニスタン空爆と立て続けにIS掃討作戦を展開、ただならぬ国際情勢に呼応して、日経平均はこの半月で3%の下落、ダウの2.3%下げに比して過敏な反応を見せています。

一方、金先物価格は13日に、5か月ぶりの高値1290.70ドルをつけ見直し買いの機運が高まっています。世界最高水準の金品質を誇る菱刈鉱山(鹿児島県)を擁する住友金属鉱山(5713)の株価も反発する可能性があります。

湾岸戦争、9.11以来の緊迫した情勢で「有事の金」価格は今後どう推移するのでしょうか、注目です。過去を振り返れば、湾岸戦争のときは金や原油の価格は、「有事の金」の譬えとは逆行する格好で下落しています。FRBは年3回の利上げを実施する予定ですから、金利のつかない金価格のさらなる上昇は期待薄とも言われています。

英経済学者ケインズが『雇用・利子および貨幣の一般理論』のなかで主張するように、金も投資対象のひとつに過ぎず、つまるところ「美人投票の原理」が働いて、他人が支持するインベストメントターゲットに資金は向かうことになるに違いありません。