悲報:4年続いた「英語で読む村上春樹」が終了!


2013年4月から4年間続いたNHKラジオの朗読番組「英語で読む村上春樹」が4月2日の放送を以て終了してしまいました。先月下旬、書店に並ぶはずの4月号テキストがないことに気づいて終了を知りました。

1年遅れで2014年4月からの聴講でしたが、日曜日の23時から始まる30分のラジオ番組に耳を傾けることは週末の憩いのひとときでした。ソファで寛ぎながらスマホから流れる英語朗読と原文朗読を聴いていると本当に癒されました。とりわけ、2014年から1年間番組を担当された新元良一・光岡ディオン両講師のトークには魅了されました。

中高生だった時分から、ラジオ(今はらじるらじる)で朗読番組を好んで聴いていました。東海ラジオ放送の蟹江篤子アナウンサーがパーソナリティを務めた「ミッドナイト東海」の朗読コーナーの熱烈なファンでした。低俗なバラエティ番組ばかりが跋扈する昨今、ラジオの朗読番組は数少ないメディアによる良心の発露だと思っています。村上春樹の作品群から選び抜かれた短編(TVピープルを除く)を名手ジェイ・ルービンの翻訳で聴かせるなんて、さすがNHKと感心していただけに、番組終了は実に残念でなりません。

新年度が始まるのを契機に第2第3の外国語を学ぶ人が増えるといいと思っています。ただ、英語については英会話のテキストだらけになってしまうことを憂慮しています。日本語を英語に置き換えること(翻訳)の難しさを知ることは、外国語を習得する上で極めて有益だと感じているからです。英語にはない日本語特有の表現、例えば擬態語や固有名詞を悩みながらどう翻訳するか(ときには大胆に省略しながら)、翻訳者の器量が厳しく問われる場面です。逆に、村上春樹アメリカの近現代作家の翻訳を多く手掛けています。翻訳者であり小説家でもある村上春樹が海外の読者も意識しながら、如何に小説を紡ぎだしているのか、英訳と原文を比較してみるのも一興です。

この4年間の感謝を込めて、テキストで紹介された作品を時系列で整理しておきます。いつの日か、こうした朗読番組が復活する日を心待ちしています。

2013年上期・下期 『象の消滅』・『かえる君、東京を救う』
2014年上期・下期 『踊る小人』・『トニー滝谷
2015年上期・下期 『TVピープル』・『眠り』
2016年上期  『四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』
         『カンガルー日和
         『パン屋再襲撃
2016年下期  『緑色の獣』
         『バースデイ・ガール』